自民党の高市新総裁は、党内きっての保守派として知られており、歴史問題を抱える中国や韓国との関係を進展させるには、バランスのある政治姿勢をとれるかどうかが課題となる。今月末には米国のトランプ大統領の来日も調整されており、早々に外交手腕が問われることになる。
高市氏は4日の決選投票前の演説で、「課題や懸案を持つ国だからこそ、対話を重視する姿勢で外交に臨む」と強調した。前回の2024年総裁選では、首相になった場合も靖国神社への参拝を続ける意向を示したが、今回は封印しており、総裁選出後の記者会見でも「適時適切に判断する」とのみ語り、外交への影響も考慮する姿勢を見せた。
ただ、保守層の自民離れが進むなか、高市氏を支持する保守系議員から参拝を求める声は依然として強い。参拝すれば「中韓との関係が一気に冷え込む」(外務省幹部)のは必至で、13年に当時の安倍晋三首相が参拝した際にも、中韓が強く反発した。
高市氏は、中国が「自国の一部」とみなす台湾との関係も重視するほか、中国政府による少数民族への人権侵害にも厳しい態度を示してきた経緯がある。首相就任後、中韓との2国間関係の重要性に配慮しつつ、自身の従来の歴史認識や対中姿勢とどう折り合いをつけるかが今後の関係発展を左右しそうだ。
トランプ氏の来日は今月27~29日を軸に調整されており、トップ同士の直接交渉を好むトランプ氏との関係構築も急務だ。首脳会談では、防衛費増額が提起される可能性があり、就任早々に外交で正念場を迎える。