自民党の高市総裁と日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)は20日夕、東京都内で会談し、連立政権樹立に向けた合意書に署名する。吉村氏が同日午前、大阪府庁で記者団に明らかにした。合意成立を受け、維新は21日召集の臨時国会で行われる首相指名選挙で高市氏に投票する方針で、高市氏が初の女性首相に選出される見通しとなった。
高市、吉村両氏は20日朝、電話で会談した。吉村氏は「連立合意する。ともに日本を前に進めていこう」と高市氏に伝えたと明らかにした。吉村氏は、議員定数の削減など12分野の政策項目でも大筋で合意に至ったとし、20日午後6時に会談すると説明した。
維新は、国会運営などで与党の枠組みに加わりつつ、連立政権に閣僚は出さない考えだ。高市氏は、内閣と維新の連携を深めるため、維新の遠藤敬国会対策委員長を首相補佐官に起用する方向だ。
維新は19日に大阪市内で常任役員会を開き、自民との政策協議を巡る対応を吉村氏と藤田文武共同代表に一任することを決めた。出席者によると、連立政権に入ることについて異論は出なかった。20日午後には、国会内で両院議員総会を開き、連立入りを確認する見通しだ。
維新は、「副首都構想」の実現や社会保障改革、消費税減税や企業・団体献金の禁止などを要望している。議員定数については、臨時国会で1割削減する関連法案を成立させるよう求めている。
自民はこうした維新の要望を大筋で受け入れる方針だ。企業・団体献金は高市氏の総裁任期(2027年9月)までに結論を得るとし、消費税減税は協議体を設置して対応する形とする見込みだ。
首相指名で優先される衆院会派の議席数は自民196、維新35で、連立合意により両党の合計は231と過半数(233)まで2議席に迫る。首相指名選挙で高市氏が1回目の投票で過半数を得られない場合、決選投票に進むが、立憲民主党や国民民主党などの野党は対応を一本化できておらず、高市氏が他氏を上回るのは確実な情勢だ。
自民は無所属会派「有志・改革の会」などにも連携を呼びかけ、1回目投票で決着をつけたい構えだ。