《ヘタレ、腰抜け》“総理候補”から国民・玉木雄一郎代表の評価が急落 なぜ「十数年に1回のチャンス」をモノにしなかったのか? 臨床心理士がその言動を分析

公明党が連立離脱を表明した10月10日以降、ある意味「主役」であり続けた国民民主党の玉木雄一郎代表だが、21日に始まる臨時国会を前にして、主役ではなくなりそうだ。臨床心理士の岡村美奈さんが、わずか10日あまりの間に世間からの評価が大きく変わった理由を分析する。
* * * 「いつやるか?今でしょ!」、国民民主党、玉木雄一郎代表の言動を見ていて、林修先生の有名なCMフレーズを思い出した。もし本当に本人が首相のポストを望んでいたのなら、千載一遇のチャンス、絶好のタイミングを逃したことになる。
首班指名選挙が目前に迫る中、「内閣総理大臣を務める覚悟がある」と連呼していた玉木氏の存在感が一気になくなった。当初は立憲民主党の野田佳彦代表に”有力な選択肢”といわれ、政局とキーマンとして”覚悟”が注目を集めたが、「風見鶏」と揶揄されるような言動で失速。結果として、この状況は玉木氏にプラスになったのだろうか。
「首相になる気はあるのか」「総理になりたいのか」、出演したメディアで必ずといっていいほど投げかけられたこの質問に、玉木氏は「首相を務める覚悟がある」と答えていた。「やる」でも「なる」でも、「なりたい」でもない。”務める”という言葉の意味をネットで調べると、「特定の役割や職務、任務を引き受けて果たすことを意味する」と出てくる。これを玉木氏に当てはめれば、自分からやりたいと立候補するのではなく、他の人達みんなが自分を担いでくれるなら、文句なく引き受けましょうということか。言われればやるけど、どうでしょう?と打診しているようなもので、自分がやるという積極的な意思表示も、強い意欲も彼の発言からは感じられない。覚悟があるといいつつ、腹が据わっていない印象を受けたのはこのためだ。
いくつものメディアで「衆議院に初当選して以来、ずっと必ずこの国のトップリーダーとして、この国を引きいていきたいという思いはある」と述べていたから、首相のポストに興味はあるのだろう。多くの人が今がそのチャンスと思い、立憲の野田代表が「十数年に1回しかチャンスがない」というほど、野党にとっては政権奪取のチャンス。だがそのチャンスを玉木氏は「大切な機会」といいつつ、どんなことをしてでもこのチャンスを掴もうとはしない。
実績も経験も玉木氏にはない。このまま政権を取っても、立憲民主党が政権の中心になりかねない。政権がうまくいく公算もない。彼にとって何が何でも自分がトップに立つと思うタイミングは今ではない。国民民主党もそう考えていたのだろう。10月8日、立憲民主党と国民民主党の幹事長、国会対策委員長が会談した際、野党統一候補として玉木氏を有力候補と考えると伝えられた国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、「冗談半分でいう話ではない」と応じた。もし仮に玉木氏が首相の座を狙っていたなら、このような反応はしなかったはずだ。政権を取ってマイナスの結果が大きくなるよりも、政権を取らず野党のままでいるマイナスの方がマシ。何かをして失敗するぐらいなら、何もしない方がいいという「不作為バイアス」の思考パターンがあったのかもしれない。