民家にクマが居座る湯沢駅周辺、消防本部の玄関にも侵入…秋田県で1日に男女6人が襲われる

秋田県内で20日朝、湯沢、横手、由利本荘の3市で、男女6人がクマに襲われ、重軽傷を負った。このうちJR湯沢駅周辺では、半径500メートル圏の近い場所にいた男性4人が約1時間15分の間に相次ぎ襲われた。6人とも命に別条はないが、今年の県内のクマによる人身被害は43人に上り、収まる気配が見えない。
小中学校に屋外活動自粛要請

湯沢市では午前5時5分以降、同駅周辺でコンビニ帰りの男性(63)やアルバイト中の男性(70)が次々に襲われた。同じ個体かは不明だが、同6時20分に自宅玄関先で太ももをかまれた男性(65)の自宅にはクマが入り込み、同市が箱わなを仕掛けて捕獲を試みている。
4人が被害を受ける直前の同4時15分頃、クマが入った民家から約600メートルの距離にある湯沢雄勝広域市町村圏組合消防本部(同市表町)の玄関の防犯カメラに、クマが自動ドアから入る様子が記録されていた。20秒ほど風除室をうろつき、外に出ていった。クマを目撃した職員はいなかったが、敷地内にクマのものとみられるフンがあったという。
同市教育委員会は、現場周辺の小中学校計4校に屋外活動の自粛などを要請した。湯沢東小は保護者の迎えが遅れた児童を教員が付き添って校内に待機させた。黒沢進校長は、「子どもの安全を最優先にした。早くクマが捕獲されてほしい」と話した。また、湯沢北中の菊地至教頭は「災害と同じだ。親の負担や外で部活動ができなくなると子どもたちの影響も大きい」とした。

市民からは相次ぐ被害を危惧する声が出た。
同市の81歳男性は「気軽に散歩もできない。クマへの警戒を呼びかける放送が流れると、最近では『またか』と思うようになった」と話した。
同市の73歳男性は「最近は出かける時、いざという時に吹けるように、ホイッスルを首からさげるようにしている」と話した。
同市の主婦(73)は「街中なのに、いつクマと遭遇するかわからないのは怖い。さらにひどいことが起きるのではと心配になる」と表情を曇らせた。
横手市では庭木の剪定(せんてい)をしていた80歳代女性が背後から頭を引っかかれた。由利本荘市では川に仕掛けた網を確認しに行った80歳代男性が襲われ、顔などにけがを負った。