伊藤詩織さん、タクシー運転手と家族に謝罪 証言を無許可で映画に収録、修正版上映の同意得る 「ご不快な思いをおかけした」

ジャーナリストの伊藤詩織さんは26日までに、ドキュメンタリー映画「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」で無許可のまま証言を収録したタクシー運転手と家族に「深くおわび申し上げます」とする謝罪文を、自身のウェブサイトで公表した。映画の修正版について公開の許可を得たことも明らかにした。
運転手は、元TBS記者山口敬之氏が伊藤さんを性暴力の現場となったホテルへ連れて行くタクシーを運転していた。車内で伊藤さんがホテルではなく駅へ行きたいと話していたことなどを、後日伊藤さんの取材に証言した映像が映画に使われていた。
伊藤さんは謝罪文で、運転手との連絡を半年以上試みたが連絡が付かず、映像を使用したと説明。「この判断は間違いであり、ご本人やご家族の皆さまに多大なご不快な思いをおかけした」と表明した。
伊藤さんは同時に発表したコメントで、「私はこの作品の監督であり、同時に性暴力の被害を受けた当事者でもある。取材や制作にご協力くださった方々は、真実に光を当てるために欠かせない存在だった」と振り返り、「今後も、一つ一つの出会いを大切にしながら、対話と表現を続けていきたい」と述べた。
映画は米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされるなど国際的な評価を受け、各国で上映された。日本国内での上映は実現していない。(編集委員・阿部岳)