千葉県鴨川市の山林で工事が進む大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の計画を巡り、地元住民有志による反対団体の代表らは29日、土砂災害や自然環境の悪化への懸念から「極めて危険な計画」として、計画見直しや工事の中止を求める要請書を県と国土交通省など関係3省に提出した。代表らは提出後、県庁での記者会見で「工事をストップさせたい」とそろって訴えた。
要請書は計画に反対する6団体の連名で10項目にわたる。「安全を軽視した工事は災害が発生する恐れが顕著だ。住民の理解が得られるまで工事を全面的に止めてほしい」と主張している。
その理由として重機が走行するための防災施設が施工されていなかったり、無許可の区域で工事が進んでいたりしているのは、県が平成31年に事業者「AS鴨川ソーラーパワー合同会社」(鴨川市)に出した林地開発許可に反しているなどと指摘した。
県は24日、事業者に対し工事の計画変更がある場合は盛土規制法に基づく報告を求めた。計画変更の安全対策が確認されるまで工事の一時停止も要請したが、要請に強制力はない。
市民団体「鴨川の山と川と海を守る会」の勝又国江代表らは会見で、県の要請後にドローンで撮影したという造成工事の映像を根拠に「伐採が続いている」「要請が無視されている」と訴え、「唯一、頼れるのは行政なのに、鴨川を守るような行動をしているとは思えない。林地開発許可を取り消しすべきだ」などと県の対応を批判した。