岩手県の達増知事は31日の定例記者会見で、今年度に県内で捕獲するクマの頭数を200頭追加し、1000頭規模に拡大する考えを明らかにした。来週にはクマ被害に関する国への要望をとりまとめる関係幹部会議を開催し、クマによる人身被害事例や各市町村からの意見、国の支援策の動向を踏まえた上で、環境省に支援を求める。
県によると、今年度の県内の捕獲上限数は796頭。9月末現在で既に714頭に達しており、市町村からは捕獲ペースの速さについて県に相談が寄せられているという。県は11月から冬場にかけ、環境省の捕獲事業を活用。猟友会に委託する形で、クマ200頭を目安に追加で捕獲する。
県内では今年度、過去最多の5人がクマ被害で犠牲になっている。達増知事は「県民は引き続き警戒する必要がある。県としても捕獲に力を入れる」と述べ、被害拡大を防ぐため、クマの捕獲が重要との認識を示した。
関係幹部会議では、人間を襲ったり里山や街に出没したりするクマへの対策や、捕獲に関する支援などの要望をまとめる。具体的には、クマの生息地と人里との間の緩衝地帯を確保することや、クマが隠れるやぶや河原付近を整備することの支援を想定。クマがどの地域に何頭いるかといった詳しい生態の調査分析を国が行うことも要請するという。
達増知事は「国からの人的、財政的支援は強く求めることになる」と強調した。