2年あまり続いた戦闘の影響などで困窮する中東・パレスチナの人々を支援しようと、熊本市で2日開かれた「地域食堂」という催しで、現地の食材を使ったパレスチナ料理が振る舞われた。参加者らは伝統の味を通し、遠く離れた紛争地域の苦しみに心を寄せた。
市内で活動する生活支援団体「飽託文食(ほうたくぶんしょく)」は、食事や生活物資を無償提供する催しを2カ月に1度開いてきた。こども食堂のように対象を限定せず、誰でも参加できることから地域食堂と名付けている。
パレスチナでは、2023年10月からガザ地区でイスラム組織ハマスとイスラエルの激しい戦闘が続いた。もう一つのヨルダン川西岸地区でもイスラエルが軍事圧力を強めてきた。多くの住民が亡くなり、暮らしも脅かされる中、飽託文食では、少しでも支えになろうと、オリーブオイルなどの産品を購入して活動に使ってきた。
そして今回は初めて、パレスチナ料理の提供に挑戦した。現地の香辛料やハーブを使ったペースト状の豆料理「フムス」と「タッブーレサラダ」などで、スタッフらがレシピを基に調理。会場の黒髪地域コミュニティセンター(中央区)のテーブルに並べると、訪れた近隣住民らが次々と口に運んだ。
同区の40代の女性は「おいしいですね。家でも作ってみたい」と舌鼓。ガザ地区の惨状に心を痛めていたといい、「料理を知ることで、パレスチナのことをより身近に感じられた気がする。支援の輪が広がってほしい」と願っていた。
ガザ地区の戦闘は25年10月に停戦に入ったが、散発的な衝突が続き、街は既に破壊し尽くされている。飽託文食の代表、大坪あすかさんは「復興は容易ではなく、これからも支援を続けていく。熊本からでも、できることがあるという姿勢を発信していきたい」と話した。
次回の地域食堂は2月21日午前11時から同区の碩台地域コミュニティセンターで。運営資金の寄付や物資支援の申し出は大坪さん(080・5250・5897)へ。【中村敦茂】