林芳正総務大臣(64)が昨年の衆議院議員選挙において公選法に違反していた疑いがあることが「 週刊文春 」の取材で分かった。
林氏といえば、自民党総裁選に出馬し、高市早苗内閣の総務大臣に就任。「週刊文春」はこれまで林氏について、「 政治資金8000万円“使途隠し” 」や「 1年で政治資金1300万を会食に使用 」していたことなどを報じてきた。
そして今回、新たに判明したのが、昨年10月の衆院選後に提出した選挙運動費用収支報告書に虚偽記入をしていた疑いだ。
「ポスターの監視なんて、ないない」
「週刊文春」が入手した選挙運動費用収支報告書によれば、林氏の陣営は労務費として約316万円を支払っている。中でも123人(重複含む)に対して支払われているのが「ポスター監視」などの名目で支払われた「ポスター維持管理費」だ。
収支報告書に添付された領収書に「ポスター監視 10/17、10/26」と名目が記され、1万円を受け取っていた選挙区内の長門市在住のA氏はこう語る。
「ポスターの監視なんて、ないない。前回の林さんの選挙でもしとらんよ。頼まれてもないし」
同じ地区で「ポスター貼り代」の5000円のほかに、「ポスター監視代」としても5000円を受け取ったB氏もこう証言する。
「ポスター貼るのは地域の支部長さんに頼まれて初日にやりましたけどね。その後の見回りは頼まれてないし、やってないですわ」
取材に応じた11人のうち8人が「維持管理費」の一部または全部が実態と乖離していると認めた。
故意に虚偽を記載した場合、『虚偽記入』にあたる
公職選挙法に詳しい神戸学院大の上脇博之教授はこう指摘する。
「故意に虚偽を記載した場合、公選法第246条の『虚偽記入』にあたる。さらに今回のケースでは、実際にはしていない『ポスター維持管理』への報酬としてお金を支払っていたとすると、同時に公選法199条の2が禁じる、選挙区内の者への違法な『寄附』に該当しうる。いずれも法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です」
林事務所は…「公選法上問題のない支出であると認識」
林氏の事務所に質問状を送付すると、次のように回答があった。
「ご質問の件は、公営掲示板に選挙運動用ポスターを貼付したり、毀損した場合の貼り替えなど機械的労務であり、そのことを選対事務局から事前に説明した上で労賃をお支払いしているところであり、公選法上問題のない支出であると認識しています」
だが、公選法違反の疑いはこれだけではなかった――。
◇
11月5日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および11月6日(木)発売の「週刊文春」では、林氏の衆院選で起きていた虚偽記載、違法な寄附などの疑惑だけでなく、運動員買収などについても詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年11月13日号)