最大格差3・13倍の「一票の格差」を是正しないまま実施された今年7月の参院選は憲法違反だとして、東京都と沖縄県の有権者が選挙無効を求めた訴訟の判決が12日、福岡高裁那覇支部(菊地浩明裁判長)と東京高裁(梅本圭一郎裁判長)であった。いずれも請求を棄却したが、那覇支部は格差を「違憲状態」、東京高裁は「合憲」とし、判断が分かれた。
弁護士グループが全国14の高裁・高裁支部で一斉提訴した計16件の同種訴訟の12、13件目の判決で、「合憲」が5件、「違憲状態」が8件となっている。高裁・支部の判決は11月中に出そろい、その後、最高裁が統一判断を示す見通し。
判決理由で那覇支部は「投票価値の不均衡は、違憲の問題が生じる程度の著しい不平等状態にあったものというべきだ」と指摘。一方、7月の参院選までに是正されなかったことが、国会の裁量権の限界を超えるとはいえないと判断した。
一方、東京高裁は不均衡について、「著しい不平等状態にあったものとはいえない」とする。
参院選の一票の格差を巡っては、平成27年に隣接県を一つの選挙区にする「合区」を導入。5倍程度で推移していた格差は3倍程度まで縮小した。今年7月の参院選では前回から0・1ポイント拡大したものの、東京高裁は「差異はわずかで、有意な拡大だったとまではいえない」とした。