安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が13日、奈良地裁(田中伸一裁判長)であり、弁護側証人として出廷した被告の母親は冒頭、「今ここで、謝罪をしたいと思います。徹也が大変な事件を起こしたこと、心よりおわび申し上げます」と震える声で述べた。
母親は弁護側から信仰している宗教について問われると、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)です」と答えた。
母は「本来は事件が起きた時にすぐに謝罪をしなければいけないと思っていましたが、なかなかできませんでした。首相、(安倍氏の妻)昭恵さんと遺族に心よりおわび申し上げます」と述べた。
この日の法廷では遮蔽(しゃへい)措置が取られ、母親の姿は傍聴席から確認できなかった。
母親は被告が小学生だった1991年、旧統一教会に入信。被告の生い立ちに大きく影響を与えたとされる。
裁判員裁判の初公判で検察側は、母親が教団中心の生活になったことから家族同士の衝突が起きるようになったと指摘。「被告が思い描いた人生を送れないのは教団が原因だと考えるようになった」と述べた。
弁護側は母親の教団への献金額は総額1億円と明らかにし、「被告は自分や家族が教団に翻弄(ほんろう)された人生だと強く思うようになった」と主張している。【岩崎歩、田辺泰裕】