安倍元総理を銃撃し殺害した罪などに問われている山上徹也被告の裁判員裁判で、初めて山上被告の母親が証言しました。いわゆる“統一教会”を信仰する母親は、「子どもたちの将来よりも献金が大事だと思った」と語りました。
山上被告の母親
「本来は事件が起きた時にすぐ謝罪すべきだと思っていた。だけど、なかなかできなかった」
山上徹也被告は、3年前に奈良市で選挙の応援演説中だった安倍晋三元総理を銃撃し殺害した罪などに問われています。
13日の裁判では山上被告の母親が証人として出廷。事件後、母親が公の場で発言するのは初めてです。パーティションで仕切られた状況の中で語られたのは、声をつまらせながらの謝罪の言葉でした。
山上被告の母親
「今、安倍元総理がここにいるかもしれませんが、徹也が大変な事件を起こしたことを申し訳なく思います」
弁護側
「今、信仰している宗教は」
山上被告の母親
「世界平和統一家庭連合です」
弁護側
「それは旧統一教会ですか」
山上被告の母親
「はい、そうです」
大きな争点は母親のいわゆる“統一教会”への「多額の献金」が事件にどう影響したかです。
逮捕後の調べに対し、山上被告は「母親が旧統一教会に入信し1億円以上献金をして家庭が崩壊し恨みがあった」「安倍元総理が教会の関係者に寄せたメッセージを見て殺害を決意した」と供述したといいます。
母親は山上被告が小学生のころ、いわゆる“統一教会”に入信。きっかけは夫の死と長男の病気でした。なぜ多額の献金をしたのか、次のように話しました。
山上被告の母親
「自分自身もイライラして子どもにつらくあたっていた。そのころから浄財というのをするようになった」
献金の理由について問われると――
山上被告の母親
「非常に心を痛めていたからです」
献金の元手については――
山上被告の母親
「夫の生命保険金です」
弁護側
「いくらあった」
山上被告の母親
「6000万円だったと思います」
そして、当時、多額の献金をしていた心情については――
山上被告の母親
「自分の子どもたちの将来よりも献金が大事だと思った」
この間、山上被告はうつむき加減で表情を変えずに聞いていました。
山上被告は、母親の献金により生活は困窮し、自殺をはかったこともあったということです。法廷では、弁護人から山上被告と母親とみられる過去のメールのやり取りが読み上げられました。
山上被告→母親とみられるメール
「まともな親の顔をしているのはおかしい」
「なんならあなたを殺して保険金をもらおうか」
「(教会に対して)年金をこれからも使うつもりなのか」
「俺をまきこむつもりか」
「年金なら完全にあなたの自由になるわけではない」
メールのやり取りからうかがえる強い恨み。さらに…
山上被告→母親とみられるメール
「俺をどう扱ったか忘れない」
「俺はお前をおとしめ後悔させてやる」
また、法廷では母親から安倍元総理の妻・昭恵さんに対する言葉も出ました。
山上被告の母親
「安倍昭恵さんにもおわびしたい」
母親の証言の前には、検察官により昭恵さんの上申書が読み上げられました。
安倍昭恵さんの上申書
「いつも通りの朝でした、午前8時に夫が出るのを見送りました。あまりにも衝撃で理解が追いつきませんでした。晋ちゃん、晋ちゃんと名前を呼びました。まだまだ私の中で夫を失った悲しみが昇華することはございません。あれこれ思いを巡らせても、本当は、私は、ただ夫に生きていてほしかった、夫に長生きしてもらいたかったのです」
母親の証人尋問は、18日にも行われる予定です。
(11月13日放送『news zero』より)