高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

懸念された外交デビューを無難にこなし、評価を上げたはずの高市首相の手腕はやっぱり不安だらけだ。政権発足から3週間が経過。首脳会談を持ちかけた北朝鮮には案の定無視され、中国とは舌禍でこじれた。ウクライナ侵攻に起因する経済制裁でへたるロシアからは入国禁止措置の追加を食らった。「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」は出足からどん詰まりだ。
高市首相の大風呂敷、相手は一癖ある面々だということを差し引いても、周辺国との関係はグチャグチャだ。拉致被害者の帰国を求める3日の「国民大集会」で、高市首相は「私は手段を選ぶつもりはありません」「北朝鮮側には首脳会談をしたい旨、伝えている」と発言。局面打開への期待は高まる一方だが、北朝鮮はその4日後、高市政権発足後2回目の弾道ミサイルを発射。現地メディアは高市発言に触れず、日本を「千年来の宿敵」などと糾弾する討論会が12日に行われたと報じている。手招きにホイホイ応じる様子はない。
高市首相の国会答弁で火がついた中国とのいさかいも収まる気配がない。台湾有事と集団的自衛権行使を結び付けた高市首相の軽率を棚に上げ、与党はX(旧ツイッター)に過激投稿(すでに削除)した中国の駐大阪総領事の国外退去処分を要求。中国外務省の副報道局長はきのう(13日)の会見で答弁撤回を求め、「日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば侵略行為となる。中国は必ず真正面から痛撃を加える」と脅し、歴史問題をネチネチ蒸し返している。
転売ヤーが電子機器買い漁り
そこへ参戦した格好なのがロシアだ。ウクライナ侵攻をめぐる日本の対ロ制裁への対抗措置として、入国禁止第5弾を11日に発表し、30人を追加。日本の対ロ制裁強化は9月中旬だった。なぜ今なのか。筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。
「米ロ首脳会談の頓挫からも分かるようにロシア外交は非常に混乱してはいるものの、新政権発足を待ち、効果的な牽制のタイミングを見定めて入国禁止を追加発表したのが見て取れます。中国とこじれてダメージを受ける高市氏にもう一発かましてやろうということでしょう。もっとも、ロシアからのインバウンドは急増し、年間10万人ほどに上る。ロシアで不足する電子機器を買い漁って持ち帰り、軍需工場に売り飛ばす転売ヤーが増えていると聞きます。ロシアの継戦能力を日本が支えている可能性もあるわけで、日本政府はきちんと精査した方がいい」
これじゃ「経済安保の高市」も名折れだ。
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中国との対立は日増しにエスカレート。落としどころはあるのか。●関連記事【もっと読む】『「存立危機事態」めぐり「台湾有事」に言及で日中対立激化…引くに引けない高市首相の自業自得』で詳報している。