待ち伏せ、靴カバー 防犯カメラ「リレー捜査」で浮かんだ東京・赤坂女性刺傷事件の計画性

発生から7日目で、急展開を見せた東京・赤坂の女性刺傷事件。容疑者を浮上させたのは、防犯カメラの映像を解析し、つなぎ合わせる警視庁の「リレー捜査」だった。殺人未遂容疑で逮捕された大津陽一郎容疑者(43)は犯行後、自転車で約20キロもの距離を逃走。捜査で明らかになった足取りや行動からは、計画性の高さも伺えた。
事件は16日午前10時半ごろ、東京・赤坂のビル地下1階にあるライブハウス近くで発生。女性は趣味で音楽活動をしており、ライブハウスのイベントに10年ほど前から年1~2回ほど出演していたという。この日も午後のライブに出演予定で、店が開くのを1人で待っていた際に襲われた。
警視庁が防犯カメラの映像を解析した結果、容疑者とみられる人物は、事件当日の午前6時半ごろに朝霞駐屯地(練馬区)を自転車で出発。午前8時ごろには現場周辺に到着し、女性を待ち伏せしていたとみられる。事件の約50分前の映像では、この人物が持参した靴に履き替え、女性が出演予定だったライブのポスターに黒色スプレーのようなものでバツ印を書く様子も確認された。
事件直前には、靴にポリ袋のようなカバーをかぶせた上で、現れた
女性を追いかけてビルの地下へ。再び出てくるまで約30秒で、この間に犯行に及んだとみられる。その後は途中で服や靴を替えつつ、自転車で新宿区や練馬区、埼玉県和光市などを約20キロ走り、正午ごろ駐屯地に戻っていた。
「点」と「点」をつなぐリレー捜査で容疑者の勤務先を特定した警視庁は、21日夕方から大津容疑者に任意で事情を聴き、自宅の家宅捜索を実施。自転車や刃物などを押収し、22日未明、殺人未遂容疑での逮捕に踏み切った。22日は朝霞駐屯地でも家宅捜索を行い、動機など詳細の解明を急いでいる。(前島沙紀)