文科省が公立高の学習や進学・就職など支援を拡充へ…私立無償化で格差懸念、地域と連携

文部科学省は、公立高校と地域の連携によって、生徒の学習や進学・就職などの支援を充実させる方針を固めた。2026年度から、私立高も授業料が実質無償化され、公立高離れが進む可能性が指摘されている。各都道府県の公立高の魅力を高める改革の一環として、生徒への学習サポートを強化する。
今年度から、公立高の年間授業料に相当する11万8800円の就学支援金の所得制限が撤廃され、高校生のいる全世帯が支給対象となった。来年度からは、私立高生のいる世帯への支給額の上限が年45万7000円に引き上げられる。
文科省は今年度の補正予算で3000億円規模の基金を新設し、公立高校改革を進める計画だ。都道府県教育委員会は、改革を先導する高校を複数選定する。27年度には交付金を新設して高校改革を全国に広げる予定だ。
こうした高校改革の取り組みの一環として、教育系企業や退職教員、大学生ら地域の協力を得て、放課後や夏休みなどの生徒への支援を拡充する。具体的には、▽大学入試に対応したレベルの高い学習▽基礎学力の定着に向けた指導▽大学や高等専門学校が協力する探究活動▽就職希望者への検定試験対策や面接指導――などを想定している。
高校授業料の実質無償化で、私立高に子どもを通わせる高所得世帯が負担軽減分を塾代などに回し、学力や進学機会の格差が拡大する懸念がある。文科省は、保護者の所得にかかわらず生徒が希望する進学や就職ができるよう後押しする。