安倍晋三・元首相を手製ピストルで殺害した山上徹也被告(45)の被告人質問が2025年11月20日に始まり、統一教会問題を20年以上取材し、公判も傍聴してきたジャーナリストの鈴木エイト氏が、21日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)で解説した。
母親については「基本的に悪い人ではない」
山上被告は冒頭で「(自分は45歳まで)生きているべきではなかったと思います。このような結果になってしまい、大変ご迷惑をおかけしてますので」と質問に答え、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に1億円もの寄付をして家庭を破壊した母親については、「基本的には悪い人ではないと思っています」「あれほど多額の献金さえなければ、それで良かったと思います」と語ったという。
鈴木氏は今後の注目ポイントは「なぜ安倍元総理を狙ったのか」だとして、「まだ本人の口から語られていません」と指摘。「次の25日の被告人質問では、安倍氏が教団の友好団体にオンラインメッセージを送ったのが、(殺害計画の)トリガーになったのかが焦点になる」とした。
今後の検証は「安倍氏のビデオメッセージが動機に影響を与えたかどうか」
そして、「(安倍氏のビデオメッセージが)彼の動機面にもかなりかかわっていたと思うので、そこは彼の口からどう語られるのか、どれくらいそれに合理性があるのかとか、そのへんは検証されていくと思います」と見る。
これに、金曜コメンテーターの長嶋一茂さん(スポーツプロデューサー)は納得できないようだった。「本来であれば、(ほこ先や怒りは)統一教会の寄付を募った方であったり、トップの人だったりに向くべきではないかなっていうところが、ぼくにはある」と、鈴木氏に疑問を投げかけた。
鈴木氏は「安倍さんがどのように教団に対する対応が変わっていったかというのを、順を追って見ていくと、たしかに、これは安倍さんが狙われても、それは仕方がない(というほどの統一教会被害者たちの怒り)」というのは半分理解できると話した。山上被告にとっても、安倍元首相が支持するビデオメッセージを教団に送ったことで受けた絶望感は、それほど強かったというのだ。
「仕方がない」という意について、鈴木氏は「当然、犯行は理解できないけれども、根本的に。ただ、被害者の方の気持ち、そうなるだろうなっていうのは理解できるんです」と話し、それが手製ピストルまで作って殺害に至った飛躍について、今後の被告人質問で明らかにされるはずだと解説した。
被告人質問は11月25日、12月2~4日に行われる予定。12月18日に結審し、2026年1月21日に判決が言い渡される。
(シニアエディター 関口一喜)