高市早苗首相の台湾有事に関する発言に対し中国の政治的、経済的圧力が高まるなか、2025年11月23日の情報番組「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)でレギュラーコメンテーターの橋下徹氏が中国のある「大物」の名前をあげて、日本政府がとるべき対応を示した。
「威勢のいいことを言うだけだったら大変なことになる」
その「大物」とは、中国のかつての最高指導者で改革開放路線を打ち出し、現在の中国の基盤を築いたとされる鄧小平氏。橋下氏は鄧小平氏が示した中国の外交戦略「韜光養晦」(とうこうようかい・目立たないように力を蓄えるという意味)という言葉を紹介し、「日本は今、力をつける時期」と強調した。
ゲストの自民党の中谷元前防衛相が「日本と中国の経済は相互依存しているので、(中国の対日圧力も)あまり長くやると、中国の国益を損することにもなる。日本も中国の圧力にくみせず日米がしっかり連携して対処していきたい」と話した。すると、橋下氏が「中谷さんは日中が相互依存関係にあると言うけれど」と話し出し、鄧小平氏の戦略を持ち出したのだ。
「日本国内で『高市さんよく言った』『中国にもっと言ってやれ』とスカッとしている人は多いかもしれませんが、日本と中国の力関係を見誤ると威勢のいいことを言うだけだったら大変なことになる」と従来の橋下持論を展開する。
焦点の「非核三原則の見直し」について
日中関係が緊張するなかで、自民党が安全保障関連3文書改定に向けて議論を開始、「防衛費の増額」「防衛備品の輸出規制の緩和」などが挙げられている。「非核三原則の見直し」も焦点の1つだ。非核三原則は核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という1967年に当時の佐藤栄作首相が国会で説明した政策である。
橋下氏は「僕らは1980年代に教育を受けた時に非核三原則を習った」と振り返りながら「僕は、もうはっきり有事の時には持ち込むよ、ということは明文化すべきだと思う」と話した。首相は簡単には言えない、大胆な発言だ。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)