大分市佐賀関で約170棟を焼いた大規模火災は鎮火に至らぬまま、25日で発生から1週間となった。
大分県は25日、大分市佐賀関の大規模火災が強風による自然災害に当たるとして、同市への被災者生活再建支援法の適用を決定したと発表した。支援法は原則、台風や地震などの自然災害が対象で、火災は今年2月に岩手県大船渡市で起きた大規模山林火災に続き4件目。適用されると、住宅が全壊した世帯などに最大で300万円の支援金が支給される。
佐藤樹一郎知事は25日午後に火災現場を視察し、支援法の適用について「いろいろな延焼の要因があるが、蔦島まで火の粉が飛び、風速15メートル強の風が吹いていたというのが大きく影響したと判断した」と述べた。
大分市によると、蔦島では25日も熱源が数カ所確認され、半島側の山林でも消火活動が続いた。
住民の避難は続く
火災では約130世帯が被災し、25日正午の時点でも住民の71世帯110人が佐賀関市民センターに避難している。市は25日、公的支援を受けるのに必要な罹災(りさい)証明書の発行を開始。公営住宅などへの被災者の受け入れを進める方針だが、住民の不安は尽きない。
罹災証明書を受け取った敷嶋房子さん(87)は、自宅が全焼した。両親や夫の位牌(いはい)も燃えたが、慣れ親しんだ地元を離れたくないと願う。「みんな顔見知り。おしゃべりやあいさつができ、また家を建てて住みたい」。妻と2人暮らしの自宅を失った60代の男性会社員は「やっとローンの支払いが終わったばかりだった。今後の住まいはまだ決められない」と肩を落とした。【山口泰輝、栗栖由喜、李英浩】