健康診断で医師が肺の異常に気づいたのに報告がなく、がんの発見が遅れたとして、愛知県小牧市の男性(32)が社会福祉法人おおぐち福祉会(愛知県大口町)に約3150万円の損害賠償を求めた訴訟があり、名古屋地裁(作田寛之裁判官)は25日、同法人に2000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
判決によると、男性は同法人と健康管理などのサービスを受ける契約をしていた一環で2020年6月に健康診断を受けた。この時、医師が男性の胸に異常を発見し、健康診断個人票の肺部分に印を付けて「CT(コンピューター断層撮影法)へ」と記載したが、職員は男性に「正常」と報告していた。男性は21年7月の診断で肺がんのステージ4とわかり、抗がん剤の投与を受けている。判決では、「過失がなければステージ1で発見されたはず」とし、「急速に症状が悪化して生命の危機に直面しかねないという事態も懸念される」と指摘した。
同法人は「判決を見ていないのでコメントできない」としている。