長野県辰野町は26日、空き家バンク制度を担当していた40歳代の男性係長(自宅謹慎中)が不正行為を行い、不当に利益を得ていたと発表した。係長は事実関係を認めており、町は他にも不正行為がないか調べるとともに、近く係長を懲戒処分とする方針。
空き家バンクは空き家を売ったり、貸したりしたい所有者に物件を登録してもらい、購入や賃借を希望する人を紹介する制度。町では2014年度に始まった。
発表によると、係長は24年6月、所有者が最低でも売却価格が600万円程度と見込んでいた戸建て住宅を同バンクに登録するよう申請を受けた。しかし、係長は物件をサイトに掲載せず「200万円でも売れない。100万円に下げないと売れない」などとうそをつき売却価格を下げさせた上で、「自分が買ってあげる」などと話し、今年3月に150万円で購入した。
9日後に、仕事上知り合った県外の会社に月額5万円で賃貸し、5年後に580万円(支払い賃料の70%相当額の210万円は代金に充当)で売却する契約を締結していたという。
今年8月、「辰野町の空き家バンクの登録が減り、箕輪町の不動産業者が辰野町の物件を取り扱う件数が増えた」と外部から町に指摘があり、調査する中で係長が当該物件を購入していたことが判明したという。
係長は23~24年度、まちづくり政策課で空き家バンクを担当していた。
町は、町に対する偽計業務妨害と、所有者に対する詐欺の疑いで長野県警伊那署に相談しており、必要に応じて刑事告訴・告発の手続きをとる方針だ。武居保男町長は「深くお詫(わ)びし、謝罪申し上げる」と声明を出した。