関西電力美浜・高浜原発 運転差し止め認めず 名古屋高裁金沢支部

福井県内にある関西電力美浜原発3号機と高浜原発1~4号機について、地元住民らが関電に運転の差し止めを求めた2件の仮処分申請の即時抗告審で、名古屋高裁金沢支部(大野和明裁判長)は28日、いずれも差し止めを認めない決定を出した。
即時抗告審では、原発の老朽化に対する安全対策と、地震の揺れに対する安全性確保の是非が主な争点だった。
2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故を教訓に、原発の運転期間は「原則40年」とするルールが定められたが、原子力規制委員会の認可を受ければ最長60年まで運転期間が延長可能となる。
美浜、高浜原発の計5基は1974~85年に運転が始まり、運転期間が40年を超えている。
住民側は高温高圧の過酷な環境で運転を続ける原発は稼働年数が進むにつれて故障が増加し、事故のリスクが高まっていると主張。関電側は40年を超える運転期間延長の申請時に特別点検を行った上で延長が認められていると反論していた。
また、両原発で関電が設定した、原発の耐震設計の目安となる「原子力施設の運転中に発生しうる最大の揺れ」(基準地震動)が妥当かどうかも争われた。
住民側は関電の水準を上回る地震動が全国で数多く発生しており、妥当ではないと訴え、関電側は「地域特性を考慮して(基準地震動を)策定している」としていた。
仮処分申請は、福井地裁が24年3月に却下する決定を出し、住民側が即時抗告していた。
美浜、高浜原発を巡っては運転延長の認可の取り消しを求めた行政訴訟の判決で、名古屋地裁が25年3月に請求を棄却し、名古屋高裁で控訴審が続いている。12月には大津地裁で運転差し止め訴訟の判決が言い渡される。【島袋太輔】