経営破綻した在日朝鮮人系信用組合の不良債権を巡って、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が整理回収機構に返済した額は約62億円にとどまり、債務残高は約566億円、遅延損害金が約594億円に上っていると、金融庁が明らかにした。11月28日の参院拉致問題特別委員会で日本保守党の百田尚樹代表に答弁した。
破綻の処理に莫大な公的資金が投入されたことについて、金融庁の田部真史・監督局参事官は「預金保険機構は預金者を保護するため総額1兆1443億円の金銭贈与を行っている。これは、その後回収を行う性質のものではない」と説明した。
朝鮮総連の債務を巡っては、整理回収機構が遅延損害金を含めて約910億円の支払いを求めた訴訟で、全額返済を命じる判決が平成29年に確定しているものの、返済は進んでいない。
整理回収機構は債権回収のため朝鮮総連本部(東京都千代田区)の土地・建物の競売を申し立て、現在は山形県酒田市の企業が所有し、総連は賃借して使用を続けている。百田氏は「総連が支払っている賃料の額はいくらなのか。払える現金があるなら、整理回収機構はなぜ差し押さえないのか」とたずねた。
田部氏は「個別具体的な債権回収に関わる事柄であり差し控えたい」とし、「整理回収機構が厳正な回収に努めるよう指導する」と述べた。