<独自>屋外の津波緊急避難場所、備蓄15%、空調8%… 政府調査、保管設備助成へ

津波から一時避難する際に使う全国の「指定緊急避難場所」のうち備蓄のある割合が、屋外の避難場所で約15%にとどまるという調査結果を政府がまとめたことが30日、分かった。空調設備は8%、日よけは2%だった。政府は屋外での保管設備となる防災コンテナなどを助成対象に加え、市区町村による整備を進める方針。複数の政府関係者が明らかにした。
指定緊急避難場所は平成25年に制度化され、津波対策では高台の広場などが指定される。国の手引はあるが、長期の避難生活は想定されず備蓄の定めはなかった。
ところが、7月に発生したロシア・カムチャツカ半島沖を震源とする地震は、離れた場所で起きる「遠地(えんち)地震」で、津波が広範囲に繰り返し襲来した。津波警報は9時間以上続き、関東地方では最高気温が35度前後まで上昇するなど、夏季での長時間にわたる避難が課題になった。政府高官は「一時避難先なので暑さや寒さのリスクへの意識は低かった」と打ち明ける。
政府は津波被害を想定した40都道府県678市区町村の指定緊急避難場所約4万カ所を実態調査。うち28府県424市町村の計2万1005カ所の暫定値をまとめた。
政府関係者によると「備蓄あり」と回答した屋内の緊急避難場所は4155カ所で屋内全体の29%、屋外では1032カ所で屋外全体の15%だった。備蓄内容は主に飲料水で、他にテントや冷却剤などがあった。
空調設備で冷房のみ、暖房のみ、両方がある場所を合わせた数は、屋内で計5431カ所(屋内全体の38%)、屋外は計523カ所(屋外全体の8%)。サンシェードなどの日よけがあるのは、屋外の171カ所(同2%)だった。
政府は手引への追加項目として保管設備とともに、余裕のある場合、個々人に非常持ち出し袋の携帯も呼びかける。(市岡豊大)

指定緊急避難場所 災害の危険から一時的に命を守るために緊急に避難する場所。土砂災害、洪水、津波、地震などの災害種別ごとに市区町村が指定する。対象災害に応じ、安全な建築物やグラウンド、駐車場などが多く指定される。避難した被災者が一定期間生活するために学校や公民館などを指定する「指定避難所」と異なる。両方を兼ねることもある。