中国女性2人死亡の踏切事故で遺族が1億4千万円求め提訴 「安全性欠いた状態を放置」

今年1月、神戸市垂水区の山陽電鉄の踏切で中国籍の20代女性2人が電車にはねられて死亡した事故を巡り、2人の両親が山陽電鉄などを相手取り、計約1億4千万円の損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。原告の代理人が5日明らかにした。提訴は4日付。
事故は1月9日夕、山陽電鉄西舞子駅近くの踏切で発生。観光で訪れていた女性2人が阪急神戸三宮発山陽姫路行き山陽電鉄普通電車にはねられ死亡した。
現場はJR山陽線、山陽電鉄が並走し、さらに南側の線路沿いに交通量の多い国道2号が走る。周辺の防犯カメラには、2人が国道2号の横断歩道の方を向いて踏切内に立っている姿が写っており、2人が踏切内と気づかずに信号待ちをしていたとみられる。
訴状で原告側は、踏切の南側にある黄色い車止めポールが遮断棒の内側にあるため「通行者が横断歩道が赤信号のときの待機場所と誤認しやすい」と、事故現場の特殊な構造に言及。過去にも死亡事故が発生した踏切であると認識しながら、「踏切設備が通常備えているべき安全性を欠いた状態を放置していた」とし、運転士に事故回避を促す検知システムの設置など事故防止策を怠ったと指摘した。
事故を受け、国土交通省は今年10月、踏切付近の待機スペースを確保するため、横断歩道を移設してスロープを設置する工事に着手すると発表。現在、工事が進められており、通行止めになっている。
山陽電鉄は産経新聞の取材に対し「訴状を受け取っていないため、回答いたしかねる」とコメントした。