千葉県市川市の民家で昨年10月に起きた「闇バイト」による強盗事件で、警視庁など4都県警の合同捜査本部は5日、住所・職業不詳の福地紘人被告(26)(詐欺罪などで起訴)ら男4人を強盗致傷と住居侵入容疑で逮捕したと発表した。4人は事件の指示役とみられ、昨年10月に横浜市青葉区で発生した強盗致死事件を含め、捜査本部は首都圏で相次いだ一連の闇バイト強盗に関与したとみて全容解明を進める。
一連の強盗事件は昨年8月27日~11月3日に東京、千葉、埼玉、神奈川で計18件発生。捜査本部はこれまでに実行役や被害品の回収役ら計51人を逮捕し、押収したスマートフォン計約750台を解析するなどして、関与を裏付けた。指示役の逮捕は初めて。
他に逮捕されたのは、いずれも住所・職業不詳の斉藤拓哉(26)、村上迦楼羅(かるら)(27)両被告(いずれも傷害罪で起訴)と、仙台市青葉区上杉、職業不詳渡辺翔太容疑者(26)の3人。逮捕は4、5日。
発表によると、4人は実行役らと共謀して昨年10月17日未明、市川市柏井町の民家に侵入し、住人女性(51)に殴る蹴るなどの暴行を加えて肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷を負わせ、現金約4万8000円のほか、キャッシュカードや軽自動車など計15点を奪った疑い。
この事件では、闇バイトに応募した実行役3人と、回収役3人が強盗致傷罪などで起訴されており、このうち実行役の男(22)が今年10月、実刑判決を受けている。
福地被告ら4人は知人同士で、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」を使い、「PTA」や「GG」、「?」など計9個のアカウント名から実行役らに強盗に入る場所などを指示していたという。被害品は回収役らを介し、福地被告に渡っていたことも確認された。
捜査関係者によると、福地、斉藤、村上の3被告は昨年11月、別の傷害事件で、千葉県警に逮捕された。福地被告は特殊詐欺にも関与したとして、今年8月以降、警視庁に計3回逮捕されている。福地被告と斉藤被告は、それぞれ準暴力団「打越スペクターOBグループ」と住吉会系暴力団の関係者とみられ、捜査本部が背後関係を調べている。
捜査本部は5日午前、警視庁本部で記者会見を開き、同庁の親家和仁・刑事部長は「断片的な関連情報を組み合わせ、事件の構図を浮かび上がらせた」と話した。会見には4都県警の担当課長も同席した。