5日未明、静岡県伊豆の国市の「順天堂大学医学部付属静岡病院」から、勾留中に入院していた住居不定、無職の被告(54)(傷害罪などで起訴)が逃走した。県警は約12時間後の午後2時頃、三島市内で被告を確保し、逃走容疑で逮捕した。県警が、監視態勢や当時の対応に問題がなかったか調べている。
県警によると、被告は5日未明、病院7階の個室から逃走した疑い。監視にあたっていた警察官が気づかないうちに逃げ出したとみられる。容疑を認めている。
個室の窓が全開しないようにするストッパーが壊されており、窓から逃げたとみられる。午前2時過ぎには、病院近くの防犯カメラに歩道を歩く様子も映っていた。
被告は三島市内の国道を箱根方面に向かっているところを確保された。被告につけられていた手錠は完全に外され、袋のようなものに入れて所持していた。
被告は9月、富士宮市のスーパーで食料品を盗み、警備員にけがをさせたとして強盗致傷容疑で富士宮署に逮捕され、常習累犯窃盗と傷害の罪で静岡地裁沼津支部に起訴されていた。11月28日、箸で自分の腹を刺してけがをして入院し、5日に退院する予定だった。
被告は、入院していたものの勾留は継続されており、警察官による対面の監視が必要な状態だった。県警留置管理課などによると、5日は富士宮署員2人が病室のカーテン越しに交代しながら監視していた。署員が、午前1時15分頃に被告が個室内のトイレに行って戻ったのを確認した後、午前4時頃にカーテンを開けると不在になっていた。
同課の担当者は「常時最低1人が監視していた」とした一方、逃走を許した理由や状況については「確認中」としている。発生原因などの検証結果を公表するかは「結果を踏まえる」とした。
県警の加藤悟総務部長は「誠に遺憾。医療機関と県民の皆様に多大な迷惑・心配をかけ、組織として深くおわびする」とコメントした。
伊豆の国市では、小中学校全9校を臨時休校としたほか、図書館や体育館など約20か所の公共施設についても休館。隣接する伊豆市でも小中学校全校で、下校時に児童や生徒を保護者に直接引き渡した。
病院に見舞いに来ていた主婦(74)は「娘から気をつけてと連絡をもらった。ひとまず逮捕されて安心した」と話した。