愛知県一宮市で5月、妊娠9か月の女性(31)が車にはねられて死亡し、事故後に生まれた長女が意識不明となっている事故を受け、同県議会で、事故などで死傷した胎児も被害者と認めるよう訴える意見書が可決される見通しとなった。国に対し、法改正に向けた議論を求める内容。刑法で胎児は「人」とみなされておらず、可決されれば全国初という。
事故では研谷(とぎたに)沙也香さんが後ろから来た車にはねられて死亡した。約1時間半後に帝王切開で生まれた長女・日七未(ひなみ)ちゃんは脳に重いダメージを負い、人工呼吸器が外せない状態だ。
車を運転していた同市の無職、女性被告(50)は研谷さんへの自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)に問われ、公判中。家族は日七未ちゃんに対する刑事責任も問うよう求めており、オンラインでは同法の適用を求める13万筆超の署名が集まった。だが、名古屋地検は日七未ちゃんへの同法違反(過失運転致傷)適用は断念した。
意見書では、死傷した胎児を被害者として認めるほか、交通事故などで胎児が出生後に死傷した場合について、処罰規定を見直すことなどを求める方針。県議会の第2会派「あいち民主」が意見書をまとめ、18日の本会議最終日に提出し、可決される見通し。