なぜ山火事相次ぐ「人為的な原因」を専門家が指摘 延焼続く日向山、乾燥注意報も

9日、神奈川県でも山火事が発生しました。伊勢原市にある「日向山」では現在も延焼が続いていますが、夜になったため、消火活動は10日になるということです。なぜ山火事が相次いでいるのか。専門家に取材しました。

9日夜も、山が燃えていました。
記者「木々の間からオレンジ色の炎が確認できます。広範囲で燃え広がっています」
木々を燃やす炎。少し離れた場所には、多くの消防車や警察車両も確認できます。
並木雲楓フィールドキャスター「この辺り焼けたにおいがします。赤色の炎、そして白い煙が上がっているのが見えます」
警察や消防によりますと、9日午後3時すぎ、119番通報が相次ぎました。
119番通報「山の中腹から煙が見える」
山火事が発生したのは、神奈川県の厚木市と伊勢原市の境にある日向山。現在も、北西方向に延焼中だということです。
ハイキングコースや国の指定重要文化財を所蔵する寺「日向薬師(ひなたやくし)」もある、観光客にも人気の日向山。
近くの別の寺では…。
山火事現場に近い 浄発願寺の僧侶
「(Q.最初に炎や煙を確認したときと今を比べてどう?)もう10倍じゃきかないくらい、大きく燃え広がってますね。不安です。万が一何かあれば、避難しなければいけないなと。道幅狭いので、本当に消防隊の方も苦労するところが多いと思います」
火事の現場から、直線距離で600メートルほどの場所に住む住民は…。
火事現場から約600メートル 近隣住民
「山火事ということなので、あちこちでおきているから大事になると嫌だなと。風が吹いて飛び火になって燃え広がってしまうのも心配」
周辺は道が整備されていないため、現場に近づけず、消火活動は難航しています。
日没のため、ヘリによる消火もできず、消火活動が開始できるのは早くても10日午前6時からだということです。
この山火事によるケガ人は確認されていないということですが、消火活動は長時間を要する見通しです。
また、8日に山火事が発生した群馬県富岡市の妙義山では、ケガ人や民家への被害は確認されていませんが、発生から30時間以上がたった今も、鎮圧のメドは立っていないということです。
相次ぐ山火事。日向山のある伊勢原市では当時、乾燥注意報が出ていました。
一方、「妙義山」の現場周辺は、先月末ごろからほとんど雨が降っていないため非常に乾燥した状態で、9日は乾燥注意報が出されています。
山火事発生の原因について、専門家は…。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫氏
「日本の場合には自然発火ということはほとんどありません。やはり人為的な原因で出火してると言っていいと思います。山に入った方がたばことか、あるいは火を使ったのか、よく消さなかったのか。あるいは麓で焚き火をして、その火が飛び火をしたのか。その辺が考えられるのかなと」
そのうえで、今の時期は特に火の取り扱いに注意してほしいといいます。
元東京消防庁・麻布消防署長 坂口隆夫氏
「山火事はこれから3月4月までは、一番多く発生する時期だと言ってもいいと思う。山は枯れ葉だとか落ち葉が堆積をする時期なんです。非常に燃えやすくなってるから。特に注意しなければいけない」
改めて、山火事の現場について整理します。
山火事が発生したのは、神奈川県の厚木市と伊勢原市の境にある標高404メートルの日向山で、頂上の近くだということです。
現在も北西の方角、山奥の方向にどんどん燃え広がっているということです。ケガ人は確認されていません。
また周辺の住宅は、延焼している方向とは反対側に点在しています。そのため、影響が出る可能性は低いということですが、現場に消防は近づけておらず、夜になってしまったため、消火活動の開始は早くても10日午前6時からで、消火には時間がかかる見通しです。
(12月9日放送『news zero』より)