自民党と日本維新の会が、審議入りのメドが立たない衆院議員定数削減法案を巡り、落としどころを探るのに躍起となっている。野党の反発で17日の会期末までの成立は困難になっており、与党は軟着陸を図りたい考えだ。
自民の梶山弘志、維新の遠藤敬両国会対策委員長は12日、国会内で会談し、法案を衆院政治改革特別委員会に付託するよう、野党側に求めることで一致した。あくまで今国会での成立を目指す姿勢を示したもので、梶山氏は会期延長も含め「全ての可能性を否定しない」と記者団に述べた。
ただ、特別委では、審議中の企業・団体献金の見直しに関する法案の採決すら不透明な状況だ。定数削減法案は、たなざらしが続き、自民内では「会期を延長しても成立は難しい」(幹部)との見方が日増しに強まっている。来年の通常国会での継続審議を模索する声も出始めた。
定数削減の実現にこだわる維新も、今国会での成立断念を受け入れつつある。吉村代表(大阪府知事)は12日、大阪市内で記者団に「結論が出るまで延長すべきだ」と主張した。もっとも11日のラジオ番組では「高市首相は約束を守ってくれている」と言及した。
自民、維新の連立合意書は、法案を臨時国会に「提出し、成立を目指す」としており、現状でも合意は履行されているとの認識を示したとみられる。吉村氏は「軽い気持ちで連立していない」とも語り、連立の離脱に否定的な考えもにじませた。
今国会での結論を巡り、首相と吉村氏は16日に党首会談を行う方向で調整している。両党の間では与野党でつくる「衆院選挙制度に関する協議会」の結論が出るまで定数削減を先送りする案が浮上している。協議会は来春に議論を集約する予定で、与党内には「協議会の議論次第で再度対応すればいい」との声もある。
野党は、法案成立の阻止に全力を挙げる構えを崩していない。立憲民主党の野田代表は12日の記者会見で、「通常国会でしっかり議論した方がいい」と述べた。公明党の斉藤代表も会期延長は必要ないと語った。