【動画】鋼と格闘「刀づくり」鉄のマチに代々つなぐ技術 廃業が相次ぐ伝統工芸「和紙」の魅力を未来へ
北海道の未来を考える「みらいWEEK」。
きょうは日本の伝統技術です。
国内でも数少ない刀を作る職人「刀匠」が室蘭市にいます。
代々受け継いできた技術を未来へつなごうとする人たちを取材しました。
日本古来の伝統技術 “日本刀”を作る「刀匠」
静寂の中で響き渡る大きな鎚の音。
鉄のマチ・室蘭市。
そこに、日本古来の技術を受け継いでいる場所があります。
日本刀を製作している瑞泉鍛刀所です。
5代目当主の佐々木胤成さん53歳です。
およそ1300度まで熱した鋼をたたいて伸ばし、半分に折り曲げます。
その工程を繰り返し、少しずつ刀を作り上げます。
(五百住アナウンサー)「火から2メートル近く離れているのに、ここまで熱気が伝わってきます」
製作途中の日本刀を特別に持たせてもらいました。
(五百住アナウンサー)「結構ずっしり重いです。作り始めてから出来上がるのにどれくらいかかるんですか?」
(佐々木胤成さん)「1か月半くらいかかります」
(五百住アナウンサー)「一本作るのにたくさんの時間をかけて作られているんですね」
瑞泉鍛刀所は1918年、近代化によって需要が減った日本刀の技術を保存するため、日本製鋼所が設立しました。
1000年以上の歴史を持つ日本刀は、製鋼技術のルーツとも言われ、代々受け継がれてきました。
(五百住アナウンサー)「佐々木さんが刀の道に入ったきっかけは?」
(佐々木胤成さん)「高校を卒業してから進路をどうすべきか悩んだ時期があった。工芸品に興味があって、金属工芸や刃物が好きで、写真を見ているうちに日本刀に興味があって、いてもたってもいられなくてこちらを訪ねてきたというのが最初です」
佐々木さんは1998年から、鍛刀所の師匠のもとで刀を作る職人「刀匠」を目指し始めました。
(佐々木胤成さん)「仕事はすべて理屈があるのですが、その理屈に気づくのに時間がかかりました。例えば研ぎだと、2代目の信秀がうまいからその作品をとにかく観察しなさいと言われて研ぎの理屈が分かった」
「技は見て盗め」と言われる厳しい修業時代を送り、2003年に文化庁の「刀匠」に認定されました。
しかし、全国の刀匠の数は164人と、45年前と比べ半分ほどに減少しています。
(佐々木胤成さん)「せっかく自分で身につけた技術を次の世代で受け継いでもらう人がいないというのは非常に危機感がありました」
減少する「刀匠」技術を次世代へ… 待望の弟子
2024年、佐々木さんには待望の弟子ができました。
笹本祥汰さん27歳です。
(五百住アナウンサー)「刀の道に入るきっかけは?」
(笹本祥汰さん)「もともと刀が好きで、就職どうしようとなった時に、好きなことをやりたいなと思って、好きなことって何だろうってなった時に刀かなってなった」
笹本さんがこの道に入った理由。
それは、師匠と同じ「刀が好き」という思いでした。
(佐々木胤成さん)「まだここがね、ここを中心に、ここを強く押さないとだめだわ。だいぶよくなったな」
火に向かい鋼と格闘する刀づくり。
佐々木さんはその伝統を絶やさないよう、指導にも力を入れています。
(佐々木胤成さん)「何百年前も作られたものが大切に受け継がれている。その技術や伝統的な価値を次の世代に何とか伝えて引き継いでいただきたいなという重責も担っていると思いますので、身が引き締まる思いで仕事もしています」
「和紙ってすごい」魅了された女性
1枚1枚小さく折られているのは、日本の伝統工芸品「和紙」です。
札幌市手稲区にある工房・ORITOです。
工芸作家の品田美里さん。
和紙を使って作品を製作しています。
イヤリングにピアス、ランプシェード、独自の折り方で作った作品です。
(五百住アナウンサー)「あ!軽い!」
(品田美里さん)「そうなんです!やっぱり紙なので」
品田さんが和紙と出会ったのは11年前でした。
(品田美里さん)「手から伝わってくる感触とか折っている時の音とか、折り進めていって出来上がったときにそれが急に作品になったという体験をした。和紙すごいって、和紙っていう素材ってすごい」
和紙に魅了された品田さんは全国の和紙職人を訪ね、さまざまな和紙を集めてきました。
その中で、職人の高齢化と廃業を目の当たりにしたといいます。
「文化が消えてしまうのは嫌」和紙の魅力伝える
(品田美里さん)「コロナ禍で和紙職人がどんどん廃業したときに、この和紙の文化が消えてしまうのは嫌だと思って。そのために自分の技術を生かしたいと思った」
品田さんは生産が減少する和紙の魅力を伝えようと、作品作りの体験会を開催しています。
実際にイヤリングを作らせてもらいました。
(品田美里さん)「まず半分に折ります。外側が表ですね」
(五百住アナウンサー)「はじをピンととがらせる、綺麗に重ねるのが難しいですね。わたし不器用だな」
小さな和紙4枚を折ったあと、コメを使ったのりをつけていきます。
(品田美里さん)「のりをつけて紙が厚いとくっつくのに時間がかかりますね」
(五百住アナウンサー)「自分的にはがんばっているんですが、品田さんの手から生まれるものと私の手から生まれるものが違います」
悪戦苦闘の末、完成したのがこちらのイヤリングです!
(五百住アナウンサー)「軽いです!何時間つけていても痛くならないんだろうなという感じがします」
(品田美里さん)「みなさんが暮らしの中で和紙を当たり前のように使っていく社会になったらいいなと思います。そのためにもどういう風に活用していったら暮らしの中で使えるのかを伝えていきたいと思います」
日本伝統の技術や魅力を伝えたい。
次の世代へと受け継ぐことが未来につながります。