田久保真紀前市長(55)の学歴問題で混乱し、田久保氏が失職したことに伴う静岡県伊東市の出直し市長選は14日、投開票され、田久保氏の再選はならなかった。
田久保氏の学歴問題をめぐる対応などが争点となる中、元市議の杉本憲也氏(43=国民民主県連推薦)が、今年5月の市長選で田久保氏に敗れるまで2期市長を務めた元職の小野達也氏(62=自民静岡県連推薦)や田久保氏ら8人の候補をやぶり、初当選を果たした。静岡は、国民民主の榛葉賀津也幹事長の地元。
市長選には、過去最多の9人が立候補。田久保氏は7日の告示日、第一声で大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画の撤回を強調。「伊東には課題が山積している」として自身への支持を訴えた。学歴問題や失職については、触れなかった。
田久保氏は伊東市議をへて、5月25日投開票の市長選で初当選。しかし翌6月に、市の広報誌などに記された東洋大卒とした自身の学歴詐称疑惑が浮上。市の話題は、田久保氏の学歴問題一色となった。
田久保氏は9月、不信任決議案を可決した市議会を解散。10月に行われた市議選をへて新たな構成となった市議会は10月31日、2度目の不信任決議案を賛成多数で可決。これを受けて、田久保氏は市長を自動失職したが、先月19日、出直し市長選への立候補を表明。学歴問題を謝罪した上で、「伊東の未来について、もう1度任せていただけるのであれば、チャレンジしたい」と意欲を示したが、田久保氏の騒動に振り回され「田久保市長疲れ」ともいわれた有権者の支持は得られなかった。
田久保氏に対する2度の不信任決議案の結果行われた市議選と今回の出直し市長選にかかった費用は、計1億円とされる。田久保氏個人の問題から始まった混乱劇は、伊東市に大きな出費ももたらす形となった。
他の候補者は、元観光推進団体役員の利岡正基氏(52)、スポーツインストラクターの石島明美氏(58)、NPO法人代表の岩渕完二氏(73)、会社役員の黒坪則之氏(64)、元会社員の大野恭弘氏(58)、漫画家の鈴木奈々子氏(52)。9人による乱戦となり、「有効投票総数の4分の1」に達した候補がいない場合は、公選法に基づいて再選挙となる可能性もあった。