不動産登記に国籍情報義務付け、来年度から…森林所有の届け出にも国籍を追加

政府は16日午前、2026年度から実施する外国人による土地や建物といった不動産取得の実態把握に向けた包括的な施策を発表した。マンションなどの不動産登記の際、国籍情報の提供を義務付けることが柱となる。森林や重要・大規模土地、投資目的以外の国外居住外国人の不動産取得でも国籍を把握するのが狙いだ。
関係省庁が、省令や告示などを今年度中に改正する。
現在の不動産登記には所有者の氏名や住所が記されているが、国籍は記入されていない。法務省令を改正し、所有者が法務局などで新たに登記を申請する際に国籍を記入して、パスポートなど公的証明書の提示を求める。登記済みの所有者が自発的に国籍を届け出ることもできるようにする。
森林法に基づき、森林を所有する場合の自治体への届け出事項にも国籍を追加する。現行の外国為替及び外国貿易法(外為法)では投資目的などに限って報告義務があるが、取得の目的にかかわらず報告対象とする。
国内企業を「隠れみの」にして外国資本が重要土地などの買収を進める事態に歯止めをかけるため、法人関係の国籍把握も強化する。重要土地等調査・規制法が定める防衛関係施設周辺や国境離島、森林、国土利用計画法に基づく大規模土地取引を対象に、取引法人の代表者の国籍に加え、役員や議決権の過半数を同一の外国籍が占める場合の国籍登録を義務付ける。
政府は、確認した国籍情報をデジタル庁が整備する「不動産ベース・レジストリ」を通じて関係省庁で連携できるよう検討する。国籍の個人情報は一般公開せず、内部情報として管理する方向だ。外国人政策を担う小野田経済安全保障相は16日の記者会見で、「国民の不安を解消するため、把握した情報を適切な形で公表できるよう関係省庁と連携していく」と述べた。