「私、見えますか?」画面に現れた制服の男…記者が“ニセ警察官”とLINEビデオ通話で直接対決 その結末は…

BSN新潟放送の記者の携帯電話にかかってきた詐欺電話。 記者が「だまされたふり」を続けて接触を試みると、「被害届作成のために本人確認が必要」と言われ、LINEのビデオ通話へと誘導されました。
通話ボタンを押すと、スマホの画面に警察官の制服を着た男が現れたのです。
「警部 狭山」と名乗るその男は、奇しくも3週間前に記者へ詐欺電話をかけてきた人物と同じ名前を名乗ったのです。
(前編「+1」からの着信に出たら「147万円が未払いです」 記者が詐欺電話に“だまされたふり”してみたら… から続く)
「狭山警部」を名乗る“制服姿の男”
画面に現れたのは、「北海道警・狭山警部」。 ニセ警察官と、“だまされたふり”をする記者。第2ラウンドとなる緊迫の攻防が始まります。
【狭山警部】 「あ、私見えますか?」
【記者】 「えっと、見えます。見えます」
狭山警部は、信用させるためか、すぐさま警察手帳をカメラに近づけてきました。
【狭山警部】 「じゃあ、私の手帳など確認されてください」
【記者】 「ごめんなさい。よく見えません。ぼけて、なんかぼけてて…」
視覚的な“偽装工作”も… 記者「これは詐欺じゃないですか?」
記者はあえて「見えない」「わからない」と答え、通話を引き延ばして相手の出方を伺います。
画面の背景には「北海道警察」のポスターまで貼られており、視覚的な偽装工作が徹底されていることがわかります。
一通りの自己紹介が終わると、狭山警部は記者に対し、免許証などの身分証明書をカメラに見せるよう要求しました。ここで記者は、核心を突く質問を投げかけます。
【記者】 「これは詐欺じゃないですか? 違いますか?」
【狭山警部】 「あ、違いますよ。はい。私も今、手帳を見せたところです」
「規則」を盾にプレッシャーをかける“狭山警部”
記者が不信感をあらわにすると、狭山警部は警察の権威と「規則」を悪用し、プレッシャーをかけてきました。
【狭山警部】 「あのね、吉田さん。身分証明書の提示をいただけないということであれば、私たちの規則にのっとって被害届の受理ってのは難しいので。結局、身分証明書の提示ってのは必須になりますから」
警察がビデオ通話や電話で事情聴取を行うことはありません。 これは、被害者を焦らせ、思考力を奪って個人情報を引き出す典型的な手口なのです。
「カメラも回しています」記者が正体を明かした直後…
これ以上は危険と判断し、記者は自身が報道機関の人間であることを明かし、取材を切り出しました。
【記者】 「私、報道機関に勤める者で、取材をさせてもらってもよろしいでしょうか。このまま」
【狭山警部】 「はあ、どういうことですか?」
【記者】 「カメラでも撮っています。これは、間違いなく詐欺だと思うんですけれども」
【狭山警部】 「詐欺ではないですよ。何をおっしゃってるのかちょっとよくわからないんですけども」
記者が畳み掛けます。「北海道警のポスターも本物だというのはわかっています」「狭山という名前が詐欺によく使われることもわかっています」。
その直後でした。
警察官が「LINE」や「ビデオ通話」で連絡することは絶対にない
狭山警部は一方的にビデオ通話を切断。約5分間に及ぶ攻防は幕を閉じました。LINEのグループからも即座に退出され、連絡はつかなくなりました。
新潟県警は、以下の点を強く注意喚起しています。
・警察官がメッセージアプリやビデオ通話で連絡することはありません ・警察手帳や逮捕状の画像をオンラインで送ることもありません
こうした“ニセ警察官”による詐欺被害は新潟県内で急増していて、今年10月末までの被害額は約6億8000万円。これは県内の特殊詐欺被害額の7割を占めています。
公的機関を名乗る不審な連絡には、絶対に個人情報を教えず、すぐに最寄りの警察署に相談してください。