県議会は12月22日、東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働を容認した花角知事を信任する決議案を賛成多数で可決しました。これにより事実上決まった柏崎刈羽原発の再稼働。花角知事は23日、経済産業相に再稼働の容認を伝え、原発をめぐる「地元同意」の手続きは完了します。
12月22日、迎えた県議会最終日。
(リポート)
「花角知事が議場に入ります。再稼働を容認した知事を信任するかまもなく決着がつきます」
一方、県庁前には市民団体など約300人が集まり、抗議の声を上げました。
「県民の意思を聞いてから再稼働を決めてもらいたい」
「手続き的におかしい」
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発。知事が就任から7年をかけて出した結論は再稼働への「同意」でした。
〈花角知事〉
「新潟県としては(再稼働に)了解するとしたい。「信任できない」「知事の職務を続けるべきでない」と県議会が判断されるのであれば辞めたい」
傍聴席は満席となり、立ち見も出る中、県議会に問われた「信任」のゆくえが見守られました。
〈未来にいがた 大渕健県議〉
「「信を問う」なら県民に直接問うのが筋です。自ら表明してきた「信を問う」このことについて公約違反です」
〈リベラル新潟 小泉勝県議〉
「国と自民党、そして知事らが水面下でシナリオを描き県民投票、知事選、議会議決という選択肢の中から最も確実に通る議会決着へと誘導してきた構図があきらかになっている。県民の意思をくみ取らない政治的決着にほかなりません」
県議会は知事を支持する自民党が県議会の過半数を占めます。このことから野党会派は、知事の「信任」は問われる前から確実になっていると反発しました。
その自民党…
〈自民党 高橋直揮県議〉
「県知事の職務を続けていく是非については「是」すなわち県知事の職務を続け、今後のかじ取りをになっていくべきという意味で「是」という意思を表明するものであります」
〈議長〉
「傍聴人は静粛に願います」
ヤジも飛び交う中、自民党と公明党は原発の安全対策の広報費に関する3142万円の補正予算案に付帯して、知事を信任する決議案を提出。そして…
〈議長〉
「本案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。起立多数よって本案は可決いたしました」
再稼働を容認した花角知事への信任は自民党や公明党などの賛成多数で可決。東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働が事実上決まりました。
東日本大震災発生の翌年、2012年から全号機が停止する柏崎刈羽原発。東京電力が運転する原発として福島第一原発の事故後、初めて再稼働することになります。
〈花角知事〉
「私は信任をいただいたと思っています。一つの区切りではありますけれどもこれが終わりではない。県民の安全安心を確保していくという意味では終わりがないきりがない話です」
閉会後、自民党の県議団からは来年行われる知事選挙を意識した声も上がりました。
〈自民党県連 岩村良一幹事長〉
「長い期間この問題に取り組んできて熟議議論が尽くされた結果だと考えている。早めとも言われている知事選にも対応していかなければならない」
野党系会派はこの結果に大きく反発しました。
〈未来にいがた 大渕健県議〉
「(知事は)あたかも自分の存在が議会によって支えられていると納得できるものではないですし、これで通ってしまうんだということに唖然としてしまう」
〈リベラル新潟 小泉勝県議〉
「春の県知事選挙に向けて首長の候補を立てられるように、原発は止められないんだけれども我々と意を同じくして県民目線で県民のための県政を確立しなきゃいけない」
柏崎刈羽原発が立地する柏崎市の桜井市長は…
〈柏崎市 桜井雅浩市長〉
「ようやくここまで来たのかなとまず感想です。あと1月ある訳ですのでその間、何もなく再稼働に進んでもらいたいと思っています」
知事は23日、赤沢亮正経済産業大臣に再稼働の容認を報告。関係者によると、東京電力は来年1月20日を軸に再稼働する方向で調整しているということです。
柏崎刈羽原発の全号機停止から13年あまり…県が出した「再稼働容認」の結論は日本のエネルギー政策の大きな転換点となりそうです。