函館市の海岸に大量のイワシの死骸が打ち上がり、海岸沿いの露天風呂が入浴禁止となっています。道南では今月に入ってイワシの大群による漁業被害も相次いでいます。一体なぜなのでしょうか。
20日、函館市内の海岸。至るところにイワシの死骸が打ち上げられていました。函館市によりますと、イワシの死骸が見つかったのは今月15日。職員らが翌日、およそ600キロのイワシを回収しましたが、岩場に付着したイワシの脂が浴槽に入り込むおそれがあるため、17日から海岸沿いにある露天風呂の入浴を禁止しています。
函館市民)
「不思議ですよね。あんまりないですよね。珍しいというか」。
温泉を訪れた人)
「ほんま残念。これしか楽しみなかったのに」。
坂詰怜記者)
「イワシが打ちあがっているのが見つかって5日目です。依然として海岸には死んだイワシで埋め尽くされています」。
近年たびたび打ち上げられる大量のイワシ。今月に入り、道南ではイワシの大群による漁業被害が相次いでいます。
せたな町と上ノ国町の漁港では養殖していたトラウトサーモンが…せたな町では21日、養殖のウニも死んでいるのが見つかりました。死んでいたのは75キロで全体のおよそ3割に当たります。また、松前町では養殖していたホッケが全滅。いずれもイワシの大群が漁港内に入り、海中の酸素濃度が低下したことが原因とみられています。
いったいなぜ大量のイワシが漁港や海岸に押し寄せたのでしょうか?専門家は…
北海道大学大学院 水産科学研究院 山村織生准教授)
「津軽海峡や日本海沿岸だとクロマグロやイルカの類ですね。狩りをされて、(イワシの群れの)密度が上がってしまって、港みたいなところに逃げ込んだところ、密度が上がりすぎたということなんじゃないかなと」。
専門家によりますと、捕食者から逃げて海岸に追いやられ、群れの密度が急激に上がった結果、イワシも酸欠状態になり死んだ可能性が高いということです。
北海道大学大学院 水産科学研究院 山村織生准教授)
「(イワシの資源量は)急激に減るということはなさそうなので、まだしばらくはこういったことは続くのかなという気はします」。