政府は自衛官の給与を早期に引き上げるため、基本給の基準を定める俸給表の改定を1年前倒しし、2027年度に行う方針を固めた。高市首相が22日、自衛官の処遇改善に関する関係閣僚会議で表明する。自衛官は定員割れが続いており、なり手の確保や離職の防止につなげたい考えだ。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。昨年12月、当時の石破内閣が28年度に俸給表を改定すると決めていた。高市首相は、国家安全保障戦略など安保3文書を26年中に改定する方針を表明しており、新文書の対象期間が始まる27年度に俸給表の改定時期をそろえる必要があると判断した。
現在の俸給表は、警察官など公安職の俸給表をベースに超過勤務分として約10%を加算している。1950年の警察予備隊(自衛隊の前身)発足時からほとんど見直されておらず、本格的な改定は初めてとなる。
全自衛官を対象に行った勤務実態調査をもとに、24時間態勢が求められる勤務状況や、危険を伴う特殊性を踏まえた給与体系を作る。諸外国の軍の給与制度も調べ、防衛省内に設けた有識者会議で議論する。
自衛官の定員割れは常態化しており、現在の実数を定員(24万7154人)で割った充足率は、2020年度末の94・1%から、24年度末は89・1%に低下した。転職希望者も増えており、23年度の中途退職者は6258人に上っている。