12月18日、官邸幹部が記者団の取材で「日本は核保有すべきだ」と語り、大手メディアが一斉にこの発言を取り上げて物議を醸している。この当該発言者は匿名の「安全保障担当の官邸幹部」等とされ、いままで明らかになってこなかったが、「 週刊文春 」の取材で、尾上定正総理大臣補佐官であることがわかった。
首相も更迭に動いていない
記者団の取材は、完オフ(内容そのものを一切報じない)ではなく、オフレコ(発言者はぼかした上で内容を報じることができる)取材であった。そのため、発言者は匿名にした上で各社が報じた。これには野党だけでなく、自民党の前防衛相・中谷元氏も「しかるべき対応を」と、更迭を促す事態に発展した。
「対立が続く中国からも批判されたが、日本維新の会や国民民主が『オフレコ破りが悪い』との論調にすり替え、首相も幹部更迭に動いていない」(政治部記者)
この発言の主は一体誰なのか。名前と職掌を明らかにしなければ、問題の本質は検証できない。官邸関係者が明かす。
発言をしたのは「核軍縮・不拡散問題担当」
「発言をしたのは〈核軍縮・不拡散問題担当〉の尾上定正総理大臣補佐官です。元航空自衛官で、2023年から防衛大臣政策参与を務め、高市早苗政権で補佐官に。首相と同郷の奈良出身のお友だちで、防衛問題のブレーンです。本音では核を持つべきと考えている人物を核軍縮担当にしている時点で、適材適所には程遠い。首相の任命責任も問われる事案で、本来は更迭され得る発言ですが、その距離の近さから斬れていないのが現状です」
12月20日、尾上氏を自宅前で直撃した。
「そういう話は……」「やめてください」
――週刊文春です。
「そういう話は……」
――核保有について政治的意図があっての発言?
「やめてください」
さらに「高市さんとお話したのか」と問うと――。
あらためて内閣広報室に事実関係や辞任の意向があるかなどを問い合わせると、高市事務所からこう回答があった。
「個別の報道の逐一についてコメントしませんが、政府としては、非核三原則を政策上の方針として堅持しています」
配信中の「 週刊文春 電子版 」並びに12月25日(木)発売の「週刊文春」では、高市首相を知る44人への取材をもとに、彼女の経歴を徹底解剖。親族が見た高市氏の幼少期、渡辺謙似の元カレが明かす青春時代、米民主党議員事務所の同僚が回想する仕事ぶり、〈飲みィのやりィの〉のフレーズで知られる著書『30歳のバースディ』編集者の告白、松下政経塾時代の“先輩”が語る「ジジ殺し術」などについて、詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年1月1日・8日号)