九州大の中村雅史病院長が辞任、出張延泊のため経費不正支出に関与…学長「再発防止に努める」

九州大(福岡市西区)は25日、経費の不正支出に関与したとして辞任の意向を示していた同大学病院(同市東区)の中村雅史病院長が、病院長の役職を辞任したと発表した。辞任は24日付。九大はウェブサイトで経緯を説明し、「管理職としての権限を不適切に行使した」として謝罪した。
九大の石橋達朗学長は「国民の皆様、関係の皆様に深くお詫(わ)びする。今後、同様の事態が生じることのないよう、指導を徹底し、再発防止に努める」などとするコメントを出した。次期病院長が来年4月に就任するまでの間、中島康晴・副病院長が職務を務める。
発表などによると、同大の教員が今年2月、沖縄県での学会に参加する出張に関し、延泊分は私用だとして不支給とされた。出張終了後に教員から相談を受けた中村氏は、経費支給の根拠とするため、架空の会合が行われたように偽装する文書の作成を事務方に指示。教員はこの文書を使って経費を請求し、宿泊費など計1万数千円が大学側から不正に支払われた。
6月に不正を疑う情報が寄せられ、九大が調査委員会を設置して、聞き取りなどを進めていた。不正と認定した内容を中村氏に伝えたところ、本人が病院長の辞任を申し出たため、石橋学長が認めたという。
調査委は引き続き、他の不正の有無も含めて調べを進める方針。