「原子力潜水艦排除せず」に波紋 従来の日本政府見解と食い違い

政府が、原子力潜水艦の導入を巡る議論を排除しないとの姿勢を示したことに波紋が広がっている。仮に導入されると、原子力の平和利用を掲げた原子力基本法の下で堅持する「導入は認められない」との政府見解と食い違うためだ。有識者らは国際情勢の悪化から見解が覆されたり、各国との緊張が高まったりする恐れを懸念し、危機感を強める。
「原潜は攻撃性が際立つ。軍事目的に原子力が使われることは許されない」。12月9日に国会内で開かれた集会で、非政府組織(NGO)ピースボートの川崎哲共同代表が訴えた。会合では与野党国会議員や原子力の専門家、市民ら約50人が問題点を議論した。
事の発端は防衛省有識者会議が9月に公表した報告書だ。潜水艦について、原子力を念頭に「次世代の動力を活用することの検討も含め、技術開発を行っていくべきである」と提言した。
自民党と日本維新の会は10月、連立合意書にその推進を明記。小泉進次郎防衛相も続く。11月の国会で原潜導入を選択肢として排除しないのかを問われ「タブー視せずに議論する必要がある」と述べた。