「(トランプ米大統領と)できるだけ早期にお目にかかりたいということで調整している」──。高市首相は25日の講演で、首相就任後初となる訪米の時期に言及。「来年の割と早い時期かなと想像している」と語ったが、政府は「3月後半」の日程を米側へ打診しているという。焦燥感の漂う「トランプ詣で」は、高市首相の“片思い”に終わる可能性が高い。
訪米の狙いは、4月に予定されるトランプ大統領の訪中を前に日米の結束を示すことだ。高市首相の台湾有事を巡る国会答弁をキッカケに日中関係が急速に冷え込む中、高市首相はトランプ大統領に「早く会いたい」と繰り返しラブコール。ただ、調整は難航している。
「来年1月の通常国会召集前の訪米を模索していたが、不調に終わりました。来年度予算案の成立が見込まれる3月なら訪米できると踏んで、『3月後半』の日程が出てきたのでしょう。トランプ大統領が中国側に寄らないよう楔を打っておくためにも、米中首脳会談の前に何としても訪米したい。ただ、調整次第では時期が後ろ倒しになる可能性も否定できません」(政府関係者)
■適当にあしらわれるのがオチ
時期を巡るゴタゴタもさることながら、問題はトランプ大統領から表立った支持を得られるかどうか。対中強硬派で知られるルビオ国務長官ですら、19日の会見で日中関係について問われた際、「我々は日本との強固な同盟関係を維持しつつ、中国共産党や中国政府と生産的な協力関係を見いだすこともできる」と中国への配慮をにじませた。「日中間の緊張は今に始まったことではない」として、どちらにも肩入れしない姿勢を見せている。
米中接近を警戒する高市首相に対し、日中対立への深入りを避けるトランプ大統領──。待ちに待った初訪米が実現しても、毎度おなじみの「日米同盟強化で一致」に終わるのではないか。元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「トランプ氏は『自分の任期中は中国が台湾に攻めることはない』とはっきり言っています。つまり、中国を刺激するような政策は取らないということ。あくまでも優先事項は米中関係なので、米中会談前であれば余計、高市氏に肩入れするような言動は避けるでしょう。加えて、米議会で超党派議員が中国の威圧行為を非難し、日本を支持する旨の決議案を提出しているので、トランプ氏が改めて支持を表明するとは考えにくい。高市氏を支持することも叱責することもなく、適当にあしらうのではないか」
日中対立激化は高市首相の自業自得だ。トランプ大統領に頼って解決を試みること自体、お門違いである。
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