能登地震で隣接ビル倒壊、妻と長女亡くした男性「助け出せなくてごめん」…現場で献花「この思いは一生抱えていく」

能登半島地震で石川県輪島市のビルが倒壊し、隣接する自宅兼店舗が巻き込まれて妻と長女を亡くした楠健二さん(57)が1日、現場を訪れ、花や線香を供えた。「今も助けることができなくて、ごめんという思しかない」と苦しい胸の内を語った。
冷たい風が吹き付ける輪島市中心部の一角にあるぽっかり空いた更地。妻の由香利さん(当時48歳)と、長女の珠蘭(じゅら)(当時19歳)さんが亡くなった場所だ。
2年前の元日、自宅にいた楠さんは2度目の大きな揺れで後頭部を打って意識をなくした。気がつくと、隣の7階建てビルが倒れて下敷きとなり、由香利さんと珠蘭さんは、がれきに挟まれていた。消防は救助に来られず、自力で動かすこともできなかった。
珠蘭さんは翌日、由香利さんは2日後にその場で死亡が確認された。楠さんは「今も鮮明に覚えている。どうにか引っ張り出せれば生きていたかもしれない」と振り返る。
楠さんは1日、珠蘭さんの帽子と由香利さんがプレゼントしてくれた腕時計を身につけて、自宅跡地に立った。「助け出せなくてごめん」。心の中で語りかけながら、1分ほど目を閉じて手を合わせた。
「この思いは一生抱えていくと思う。2人がいなくなった現実を受け入れられることができない」
(輪島支局 成島翼)