非核三原則見直し「理解できない」 カキ大量死に人口流出…難題山積の広島知事を直撃

尾を引く一大産品・養殖カキの大量死、全国最多の転出超過…。難題が山積する広島県政のかじ取り役を担う横田美香知事(54)に、令和8年の県政の進むべき方向性を聞いた。
--新年度へ初の当初予算編成を控える。自身のカラーをどう打ち出すか
「人をひきつける魅力あふれる広島に-。これが基本的な考え方だ。課題の若者の流出と人口減対策としては、企業誘致や新しい産業集積を進め『働く場所』をつくる。『遊ぶ環境』に関しても民間の力を借りながら、楽しい広島県を目指す」
--広島の自動車産業は米国市場との結びつきが強い。米国の関税政策への危機感は
「(自動車大手の)マツダは米国に多く輸出しており、昨年は広島経済に大きなインパクトがあった。関税措置に対する先行きが見えない中、設備投資や研究開発が停滞しているとの声もある。今後も企業とのヒアリングを重ね、遅れずに支援策を取る」
--養殖カキの大量死は影響が長引く
「(養殖業者が)融資を受ける際の利子分を県が負担し、養殖用のカキいかだを新たに購入する経費も支援する。国や市町も支援策を打ち出す中で、どれを活用できるのか整理して分かりやすく示すのも県の役割だ」
宿泊税は周遊促進に
--4月に宿泊税を導入する。新たな税収をどう活用するのか
「事業として活用できる税収の見込みは14億7千万円。広域的な観点から、県内全域への周遊を促進するために必要な施策に活用する。新年度当初予算編成の過程で具体的な事業や使途、全体像、市町への配分について示せるのではないか」
--利用者が著しく少ないJR芸備線の存廃を巡り、令和6年から国が設置した「再構築協議会」で議論が進むが、国は方向性を示していない
「議論を始める前に、日本の鉄道ネットワークのあり方が示されるべきだが、それもなく協議会が立ち上がった。(8年度に他モードとの比較検証を行う)実証事業に入るまでには、国の考えを出してほしい」
--芸備線の特定区間は鉄道で残すのが望ましいか。(鉄道の所有と運行を分ける)上下分離方式や他モード転換に関する考えは
「JR西日本は赤字路線を抱えつつ、1600億円以上の経常利益を上げている。内部補助を活用し、継続してもらいたい。上下分離については厳しい財政の中で自治体が費用を受け持つのは違う。持続可能性を考えても費用の付け替えは容認できない」
「バス運行への転換で自治体が費用負担するケースも多いが、上下分離と同じく、持続可能性があると言えるのか。しっかりと考えていかなければいけない」
平和への一歩を発信
--県政運営を担ってみての手応えは
「責任の大きさを改めて感じている。いろんなことを考えて発信したり、判断したりしなければいけない。いろんなところへの配慮も難しいというか、大変だ」
--与党内で議論が検討される非核三原則の見直しについての考えは
「ちょっと理解ができない。非核三原則は被爆を経て、戦後復興した日本にとって大変重要な原則だ。しっかりと守っていくべきであり、(見直しが俎上(そじょう)に載るようなら)被爆を経験した県として声を上げていかなければいけない」
--今年は被爆81年。昨年は核抑止を「フィクション」と断じた湯崎英彦前知事のスピーチが注目されたが、自身はどんなスピーチにしたいか
「平和や核廃絶に向けてどのような一歩を踏み出していくのか、いろんな方々に分かりやすく発信していきたい。じっくりとこれから考えていく」
--広島市との連携については
「コミュニケーションを密にしながら(政策を)進めていきたい。(松井一実)市長との話し合いはこれからも必要だと思っている」(聞き手・矢田幸己)

よこた・みか 東京大卒。平成7年に農林水産省に入省。就農・女性課長や富山県副知事、内閣官房内閣審議官などを経て、昨年4月に広島県副知事に就任。同11月の知事選で初当選し、現在1期目。