前橋市長選に再選した小川氏、日を追うごとに増えた聴衆…ホテル問題を知名度向上につなげることに成功

前橋市長選は12日投開票され、前職の小川晶氏(43)が弁護士の丸山彬氏(40)ら新人4人を破り、再選を果たした。既婚の男性職員と複数回ホテルに行っていた自身の問題から行われた選挙戦だったが、逆風をはねのけて再び市民の信任を得た。投票率は47・32%で、2024年の前回選(39・39%)を上回った。当日有権者数は27万839人。出直し再選のため、任期満了は28年2月27日となる。
小川氏再選確実の一報が入ると、大友町の会場は歓声に包まれ、支援者は抱き合ったり握手したりして喜びを分かち合った。
午後7時半頃、小川氏は深々と頭を下げながら現れ、支援者の「あきら」コールに迎えられた。
支援者から花束を受け取ると表情を緩めたが、小川氏は「私に期待をしてくれている方々ばかりではないと思う」と強調。「これからの行動で全ての市民の信頼をまた積み重ねていきたい」と力を込めた。
選挙戦では、新たに「第1子保育料半額」を公約に掲げ、将来的な保育料無償化にも意欲を見せた。
特定の政党に推薦や支持を求めなかったが、立憲民主党市議らが総合選対の幹部を務めるなど事実上の組織戦を展開。「旧町村部に当たる郊外ほど厳しい状況」(陣営幹部)と支持離れが想定された女性票に照準を合わせ、市内をくまなく巡って支持回復に努めた。
告示後に恒例となった千代田町の商店街などでの夜の対話集会では、日を追うごとに聴衆と質問が増えた。終了後は握手や写真撮影を求める列ができるなど、ホテル問題で集まった注目を、知名度向上につなげることに成功していた。
勝因は政治経験の差
トップの信任が最大の争点となった前橋市長選で、市民は県都の顔に再び小川晶氏を選んだ。
勝因は、子育て重視の施策に政党色を出さない戦略と誰もが賛同しやすい空気感を作ったこともあるが、何より相手候補との政治経験の差だろう。市議会の6割や自民党国会議員と山本知事、ジンズホールディングスのトップ・田中仁氏らが支援しても丸山彬氏の知名度不足は補えなかった。
むしろ、初当選した2年前と同様、「市民に一番身近な市長」を掲げた小川氏の姿は、有権者には保守王国の豪華な顔ぶれと対照的に映ったのではないか。
一方、小川氏はホテル問題の報道への不信を公然と口にし、演説では自らを被害者に仕立てた。「失敗した人の弱さがわかる」との発言は繰り返したが、停職処分を受け、昨年末に退職した元部下の男性職員に言及することはなかった。
有権者のお墨付きを得て、市議会と繰り広げた攻防にピリオドは打たれたが、有権者の頭からホテル問題が消えるかはわからない。外部の協力が不可欠な事業が山積するが、遂行し、市民の期待に応えられるか。
次の審判は、たった2年後だ。(井上健人)