「親族等の火葬による心的ストレスで喫煙欲求が生じることに一定の理解ができる」――。長野県松本市は、受動喫煙防止条例の区域に指定する市営葬祭センターの敷地内に、指定喫煙所を設ける。敷地外で喫煙する利用者がいて、周辺住民から苦情が寄せられていた。
葬祭センターは、松本駅から約2キロの市中心部の小高い場所にある。1997年に使われ始めた際は、建物内に喫煙所があった。2019年7月の条例施行に合わせ喫煙所を廃止し、敷地内を全面禁煙にした。
市営霊園も隣接し、利便性が高いことから、利用件数は年々増加。23年になると付近の施設から、利用者の敷地外喫煙への苦情が寄せられるようになった。苦情件数は23~25年度に延べ18件に及び、監視カメラを設置する施設も現れた。
苦情を受け市も、禁煙を呼びかける看板を置き、チラシを配るなどして利用者の啓発を図ってきた。しかし、敷地内外の吸い殻は減らず、苦情は、敷地内の喫煙所設置を求める陳情へと発展する事態となった。
市環境保全課によると、24年度の利用件数は約3000件に上る。団塊世代が75歳以上の後期高齢者に入ったことから、件数の右肩上がりは当面続くと判断。市健康づくり推進協議会で協議し、敷地屋外に指定喫煙所を設けることにした。
高さ2・1メートル、縦2メートル、横3メートルの囲いで、5人程度の利用を想定。設置費用の数百万円を26年度当初予算に盛り込む予定。同課は「心的ストレスに加え、数時間の待機が必要な状況により、喫煙欲求が生じることに一定の理解ができる。指定喫煙所の設置により、無秩序な喫煙と火災リスクを低減できる」としている。