《このタイミングしかない》高市首相が「あえて根回しせず」決断した総選挙 自民の得票は「選挙区2700万票」「比例2000万票」に回復の可能性 国民民主や参政の主張取り込み支持層奪還か

伝家の宝刀が抜かれる。高市早苗・首相は来る通常国会冒頭で衆院解散に踏み切る構えだ。根回しなしの”大博打”に、与野党で動揺が広がっている。高い支持率を頼りに単独過半数復活を狙う高市氏の目論見通りになるのか。本誌・週刊ポストは選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏の協力のもと、全289の小選挙区の情勢を詳細に分析。各党が獲得する議席を予測すると、政権枠組みさえ変わりうる衝撃の結果となった。
年度内の予算成立を捨ててまで決断した大博打
高市首相の「抜き打ち解散」の意向に年明けの永田町、霞が関、全国の自治体は大混乱に陥った。
首相が1月23日召集の通常国会冒頭での解散を検討していることを読売新聞が報じると、総務省は全国の都道府県選管に緊急通達。投開票日は最短で「2月8日」と見られ、選管はポスター掲示板など大急ぎで発注しなければ間に合わない。厳冬期の2月の総選挙は戦後2回しかなく、前回は36年前だ。
永田町は寝耳に水。高市首相は解散をごく少数の側近以外、自民党内や連立相手の日本維新の会にさえ相談していない。各党は総選挙を全く予期していなかったため、立憲民主党の野田佳彦・代表は大慌てで公明党の斉藤鉄夫・代表と会談して選挙協力を申し入れ、その後の協議のなかでは「新党結成」を視野に入れた協力体制の話まで出る急展開となった。自民党でも、落選して選挙区を失った元議員たちが急遽、出馬できる候補者空白区を探すなど与野党とも右往左往している。
国民民主党の玉木雄一郎・代表は解散情報に「自民党が衆議院でいくら勝ったとしても参議院は依然として過半数割れ。(高市首相が)合意を破るなら、予算案への賛成を確約できない」と怒りを表明してみせた。
高市首相は玉木代表と物価高騰対策を盛り込んだ予算案を年度内に可決させるという合意を結び、通常国会では自維の与党と国民民主の賛成で予算成立は確実な見通しだった。だが、解散になれば予算案の審議入りは総選挙後にずれ込み、年度内成立は絶望的。暫定予算を組むことになれば物価高騰対策は大幅に遅れることになる。
玉木氏が言うように、高市政権はたとえ衆院選に勝ったとしても参院では過半数がない。国民民主など野党の協力がなければ国会運営は難しい。もし、負けたら政権はもたない。
それでも高市首相は国民民主の協力や予算の年度内成立を捨ててまで冒頭解散を1人で決断し、1人で自民党を背負って戦う大博打に踏み込んだ。