陸上全国大会の誘致が危機…夜間照明整備に14億円、「市単独では厳しい」

岩手県内唯一の日本陸上競技連盟の第1種公認競技場「サンディスクスタジアムきたかみ(北上陸上競技場)」が、公認継続の危機に直面している。北上市単独で公認を更新する際の整備費を負担して1種を維持してきたが、次回2027年度末の更新では夜間照明の整備で約14億円が必要になる可能性があるためだ。市は「市が単独で長期的に公認を継続するのは困難」と県に財政支援を求めている。
公認陸上競技場は1種から4種まである。1種は日本選手権や国民スポーツ大会、インターハイなどの全国規模の大会、2種は東北大会など主要な地方大会、3種は県大会の開催が可能となっている。それぞれレーン数や収容人員、補助競技場の有無などの要件が定められている。
サンディスクスタジアムは、1999年の岩手インターハイに向けて43億8900万円で市が整備し、98年に完成。2016年の希望郷いわて国体の主会場にもなった。収容人数は2万3000人。5年ごとに5回の公認更新を繰り返し、これまでにかかった整備費は補助競技場分も含めると総額5億6800万円になる。
夜間照明は、近年の猛暑で競技が日中を避けて行われるようになったこともあり、必要性が増している。これまで移動式の照明設備で対応してきたが、日本陸連は固定設備が「望ましい」との立場だ。
1種の公認競技場では「平均照度1000ルクス程度」が求められ、ゴール判定のため「フィニッシュラインは1500ルクス以上」の確保が必要となる。市の試算では約14億円に上るが、1種の公認に照明の設置が必須になるかは、26年度に行われる事前指導で示されるという。
岩手陸上競技協会の阿部幸彦事務局長は「県に1か所は1種競技場がないと、大きな大会の誘致が難しい」との考えを示した上で、「県内で大きな試合があることは、陸上人気や選手の意欲につながるだけでなく、子どもたちや審判員の刺激にもなる。ぜひ公認を継続してほしい」という。
市によると、東北6県には各県1か所の1種公認の陸上競技場があるが、岩手以外は県営。夜間照明がないのは北上と秋田のみとなっている。
市は昨年8月、県に補助を求める要望を出したが、まだ回答はない。市スポーツ推進課の矢後雅之課長は「公認を継続したいが、市単独では厳しい。北上の競技場は交通の便がよく、競技関係者に好評なのだが……」と頭を抱える。県の回答を待って市の方針を決めるつもりだ。
一方、県スポーツ振興課は「1種公認のためだけに補助を出すことは、現時点では考えていない。これまでも大規模大会で使う際は補助を出してきた。今後も全国大会の開催が決まれば補助は考えられる」と話した。