杉並死傷の容疑者「たまたま目に入った2人を刺した」、強制執行関係者10人を追いかけ

東京都杉並区のアパート前で、部屋の強制執行に訪れた2人が住人に刺された事件で、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された職業不詳の山本宏容疑者(40)が、「たまたま目に入った2人を刺した」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、強制執行の関係者を無差別に襲ったとみている。
発表によると、山本容疑者は15日、同区和泉の路上で、家賃保証会社社員の小栗寿晃(としあき)さん(61)と東京地裁の60歳代の男性執行官を包丁で刺した疑い。小栗さんは背中を刺されて死亡。執行官も軽傷を負った。
捜査関係者によると、この日は家賃滞納による部屋の明け渡し期限で、現場には運搬業者も含めて計10人が訪れていた。執行官ら5人が2階の部屋の呼び鈴を押したところ、すぐに出てきた山本容疑者は煙が出ている段ボール箱を外廊下に置き、散り散りに逃げた10人を追いかけて路上で2人を刺したという。
段ボール箱には、カセットコンロ用ガスボンベ3本のほか、ライターや着火剤、ネジなどが詰められていた。警視庁は、催告書で強制執行の日付を把握していた山本容疑者が事件を計画していたとみている。
犠牲の小栗さん、仕事熱心で信頼暑く
小栗さんが勤務していた家賃保証会社の男性社長(67)が17日、取材に応じ「小栗さんに何一つ落ち度はない。怒りもあるし、悲しい」と心境を語った。
社長によると、小栗さんは2010年11月に入社し、誠実な人柄で周囲からの信頼が厚かった。輪番制で毎朝行う社内のトイレ掃除では、当番がいないと必ず代わりを買って出ていた。代休も取らず熱心に働くため、社長が無理やり休ませるほどだったという。
小栗さんは昨年6月にも、家賃の督促に伴い、山本容疑者宅を訪れていた。事件当日は裁判所の手続きで、保証会社の社員に立ち会う義務はなかったが、社長は「立ち退きが終わったことを見届け、アパートの管理会社に報告するために足を運んでいた」と話す。
訴訟記録によると、山本容疑者は昨年7月時点で約11か月分の家賃約60万円を滞納。社長によると、滞納はその後も続き、約100万円に達していた。社長は「(督促の)電話や手紙も無視し、不誠実な対応を続けていた」と振り返った。