19日、ついに高市総理が「国会冒頭の23日に衆議院解散」と発表。それに先立ち、来る衆院選に向けて結成された中道改革連合は、食料品への消費税8%を恒久的にゼロにするいう政策を打ち出しました。 これに対抗するように、自民党も「期限を区切った食料品の消費税ゼロ」について公約に盛り込むか検討しています。 消費税減税は実現なのか?選挙目当てでの政策なのか?野村総合研究所・木内登英氏、ジャーナリスト・武田一顕氏への取材もふまえ、あらためて消費税について解説します。
まるでアピール合戦!?急浮上する「消費税減税」
高市総理は1月19日、記者会見で国会冒頭の23日に衆議院を解散し、衆議院解散総選挙を27日公示、2月8日投開票で行うと発表しました。
「消費税減税(食品への消費税8%を0にする)」への本気度がどれだけ示されるか注目されています。公約の表現が「0を公約とする」のか「0を検討しますという公約」なのか、はっきりとしないのが現状となっています。
山中真アナウンサーは「与野党ともに政治家は、これ(消費税減税)を出しておけばみんな嬉しいんでしょう。だからとりあえず出しますよ感がある」と意見。
神戸学院大学の中野雅至教授は「今やれるなら、解散せずに今すぐやればいい」と指摘します。
与野党ともに選挙前に方針転換?
消費税減税をめぐるこれまでの経緯を見ていきます。昨年10月の自民・維新の連立政権合意書で「食品消費税2年間0」を「視野に検討」としていましたが、11月には「レジ改修に1年以上かかる」などと言ってトーンダウンしていました。
ジャーナリストの武田一顕氏は「高市総理はかつて消費税“減税派”。しかし最近は後ろ向きだった」と指摘します。
そうした中で急に衆院選での公約に浮上したのでしょうか?
新しくできた政党「中道改革連合」が「食品消費税0」を基本政策に出してきたことが脅威と感じたから。あるいは与野党の対立軸をなくす「争点潰し」ではないかと見られます。
・新党「中道改革連合」
公約:恒久的に食品消費税ゼロ
・自民&維新
公約(検討):期限を区切り食品消費税ゼロ
ただ、中道改革連合、特に立憲民主党は参院選のときは期限を1年、長くても2年としていたことや、もともと消費税増税を決めた過去があります。
与野党ともに選挙前に主張が変わっているのが現状です。
立憲・公明の新党が財源として提案 「政府系ファンド」は運用できる?
消費税の減税は現実的にできるのでしょうか?
消費税の税収は令和7年度当初予算で年間31.4兆円で、野村総合研究所の試算によると、そのうち食料品の軽減税率分(8%)は年間5兆円となっています。
ガソリン暫定税率廃止で1.5兆円、年収の壁の103万円から178万円への引き上げで1.8兆円減収という議論と比較しても巨額な減収となります。
消費税減税により5兆円の税収減が見込まれていますが、「財源の裏付けがない減税は円安・金利上昇・債券安リスクを招く」と野村総合研究所の木内登英氏は指摘します。
木内氏は財源案として、▽国債、▽税収の上振れ(今年度は+2.9兆円か)、▽ほかのお金を削る、▽ほかの税金を上げる、という4つを挙げました。
そんな中、中道改革連合が出している案が「政府系ファンド」です。
資源がある国は、その資源での儲けを将来世代につなぐため、資源などで得た収益を原資に運用をしています。国債を発行している日本の場合は余っているお金は基本的にないことから、日本で政府系ファンドが運用できるかは疑問が残ります。
「消費税だけ」で帳尻を合わせようとすると、軽減税率を0%にする代わりに、消費税率を10%から12%に上げなければなりません。
「消費税減税は本当に進むのか疑問」専門家の見立て 5兆円財源はハードル高/いくらでも言い訳できる?
与野党が一致すればすぐにでも実現できそうですが、武田氏の見立てでは4月末ごろから議論を開始し、5月中に法案が成立。そして10月ごろ以降か、来年4月以降に開始ではないかということです。
しかし、こんな言葉があります。「公約と膏薬(こうやく)は何処へでも付く」。つまり、公約は湿布のように都合よく貼ったりはがしたりできるという意味で使われる皮肉です。
「消費税減税は本当に進むのか疑問」というのが専門家の見立てです。
木内氏はその理由として、▽5兆円の財源確保はハードルが高い、▽去年の参院選後は結局野党も強く出なかった、ことを挙げています。
また、武田氏は、▽「ほかに優先することがある」や「以前とは状況が変わってきた」など言い訳をいくらでも言える、▽「プライマリーバランス黒字化」や「定数削減」などずっと未実現の公約も多い、としています。
高市総理の消費税減税への熱量・本気度はどれほどか。そしてそれが本当に良いことなのか。社会保障政策なども併せて、有権者はしっかりと見ていかなければなりません。