家宅捜索中の警察官が集団暴行 大阪府警が35人を処分、異例規模に

家宅捜索中だった大阪府警の警察官が捜査対象の男性らを集団暴行した事件で、府警は23日、関与した警察官12人を免職や停職などの懲戒処分にしたと発表した。上層部などの内部処分や指導を含めると対象は計35人にのぼり、異例の大量処分になった。
暴行の様子を捉えた映像の存在を隠したり、不適切な書類作成を指示したりするなどしていたことも府警の調査で判明。幹部らと現場の警察官の間で捜査方針が十分に共有されないなど組織の問題も明らかになった。
事件を巡ってはいずれも捜査4課の警部補、時長力(51)と巡査部長の阪口裕介(33)の両被告が特別公務員暴行陵虐罪などで逮捕・起訴されており、2人は懲戒免職とした。府警は氏名を公表していないが、同じ罪で在宅起訴されている捜査4課の人見寛大巡査部長ら4人は停職6カ月とした。
ほかに、捜査4課や組織犯罪対策本部に所属する巡査部長ら少なくとも4人も暴力を振るうなどしていたと判断され、減給処分などを受けた。
暴行の様子は捜索現場の防犯カメラに記録されていた。映像の存在を知りながら大阪地検にないと虚偽の報告をしたとして、府警は男性警部(45)を犯人隠避容疑で書類送検し、停職6カ月にした。
この警部は捜査を指揮しており、部下に「暴行はなかった」とする関係者の供述調書を作成するよう指示。書類も実際に作られていた。一部の警察官は暴行の途中から防犯カメラの電源を切るなど隠蔽(いんぺい)も図っていたという。
暴行事件は2025年7月、大阪市西区にあるオフィスビルを捜索した際に起きた。国内最大規模の違法スカウトグループ「ナチュラル」の関与が疑われた職業安定法違反事件の解明が目的だった。警察官らは押収したスマートフォンのロックを解除するために暗証番号を聞き出そうとし、暴行に及んだとされる。
府警は捜査対象者への制圧行為がどの程度許されるのかについて、警察官らが誤った認識を持っていたと判断。捜査幹部による捜査指揮にも問題があったとして監督責任を問い、捜査4課長を内規に基づく本部長訓戒とし、当時の刑事部長も口頭で厳重注意した。
捜索には28人の警察官が参加。暴行を制止しなかった警察官らも内部処分を受け、異例の規模になった。
警察官らの暴行は、捜索後に逮捕された男性らが接見した弁護士に被害を訴えて発覚した。
暴行事件を受けて警察庁は23日、組織犯罪の適正な捜査を再徹底するよう求める通達を都道府県警などに出した。
府警の國井栄次監察室長は「警察捜査に対する信頼を著しく失墜させる行為で厳正に対処した。指導、教養を徹底していく」とコメントした。【木島諒子、斉藤朋恵、川地隆史】