広島地検公判部の男性検事(当時29歳)が2019年12月に自殺したのは、長時間労働と上司からのパワーハラスメントが原因だとして、検事の遺族らが国に損害賠償を求めた訴訟は13日、東京地裁で和解が成立した。遺族の代理人弁護士が明らかにした。上司の指導や対応が配慮を欠いた不適切なものだったことを認め、国が遺族に解決金1億9400万円を支払う内容となる。
遺族側は、検事は19年6~12月の月の時間外労働時間は最大112時間に及び、公判準備をする中で当時の上司から机を何度もたたかれ、侮蔑的な叱責を受けたとして24年9月に提訴した。国は23年に検事の自殺は過重労働が原因だったとして公務災害を認める一方で、訴訟の中でパワハラの有無を含めた認否を留保し、遺族側と和解協議を続けてきた。
代理人弁護士によると、和解条項には、公務災害認定について、国が遺族から21年11月に申し立てを受けるまで調査を十分しなかったことや、その後の遺族への情報提供が不十分だったことを認める内容も盛り込まれた。和解条項には含まれていないものの、客観的資料を使って職員の在庁時間の管理や把握に努めることや、ハラスメント相談窓口を組織内で周知する通知を出すことでも国と合意した。
遺族側は訴訟で約1億7000万円を請求しており、解決金は請求額に遅延損害金が加算された金額だという。
和解成立後に記者会見した代理人弁護士は「国が安全配慮義務を怠ったことにより、仕事が原因となって死亡したことを国が認めてくれたと理解している」と評価した。検事の父親は「希望を持って検察庁に入った。疲弊せずにしっかりと仕事ができる職場環境をつくってもらい、不適切な指導をなくしてほしい」と語った。
広島地検の岡田馨之朗(けいしろう)次席検事は「本件のような事案が二度と発生しないよう、今後とも、職員が心身ともに健康で職務に精励できる職場環境の醸成に努めてまいります」とのコメントを出した。【安元久美子】
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